NICUにおける音環境
4月も半ばに入り、新人臨床工学技士もNICUなどに入る機会は増えてきたのかな?と思います。
今回はNICUの音環境についてお話したいと思います。
Q.NICUにおける推奨されている音環境はどのくらいでしょうか?
答えは45dB以内です
(NICU内での音環境におけるポイント)
・在胎24週までに聴覚器官はほぼ完成
・騒音が血圧や呼吸、心拍数などのバイタルサインに影響を及ぼす(未熟児ではIVHなどのリスクもある)
・赤ちゃんはお母さんの声と他の人の声を聞き分けられるとされている(お母さんの声が大好き)
上記のポイントからも音環境を少しでも気にして仕事する事は、
ディべロップメンタルケア(外的ストレスを最小限にして児の成長・発達を促そうというケアのこと)に繋がると考えています。
①聴覚について
赤ちゃんがお腹の中にいる間に母親の声を覚えたり、お腹の中で聞いた音楽を好んだりするというのを聞いたことがあるかと思います。
在胎24週までに聴覚器官はすでに完成しています。そのため、NICUに入院している赤ちゃん達は我々の話す声や騒音を聞いていることになります。
②騒音による悪影響
赤ちゃんへの過剰な騒音曝露は、赤ちゃんの発達や成長を妨げ、聴覚や言語、認知に関する障害の原因になることもあります。さらに、早産児では、聴覚系の神経発達が重要な時期に対して、NICUの騒音に晒されるのでとても敏感な時期と言えます。
保育器のモーター音を始め、HFOの音、アラーム音などは騒音暴露と関連することが言われています。
聴覚障害の頻度は正期産児で0.1%なのに対して
早産児では2~10%との報告があります。
騒音が心拍数や呼吸数の増加を招き、酸素消費量の増加を引き起こすことで、成長のためのエネルギーを消費してしまいます。
(※26週前後の急性期は頭蓋内出血(IVH)がリスクとしてあげられ、循環の変化や騒音ストレスによって引き起こされることもあります。)
そのため、早産児における難聴の原因の1つとして騒音ストレスがあげられると思います。
騒音ストレスを下げるにはスタッフ一人一人の意識が大切だと考えています。そのため、臨床工学技士もNICUの音環境に気をつけながら点検や呼吸器ラウンドを行う必要があります。
(良くない例)
・保育器のそばで大きな声でお話をする
・PHSの大きすぎる音
・保育器の窓を強く開閉する
・酸素や空気の配管を勢いよく抜く
・保育器の上に物を置く など
(騒音レベルの例) (図1)
静か(45~50dB) → 通常会話
騒がしい(70dB) → 回路内結露(不快)
耐え難い(120dB) → クベースを叩く(苦痛)
騒音レベルは上記のように言われています。
※保育器によっては騒音レベルをモニタリングできたりします。(図2)
騒音レベルを計測しておいて
アラーム音量などの適正値にするなど
のラウンドも大切かなと思っています。
※看護師さんや臨床工学技士などで行っている施設があったら教えていただきたいです。
③お母さんの声と音楽療法
赤ちゃんは子宮内にいる時に、自分の母親の声を覚えており、出生後も聞き分けることができると言われています。
音楽療法は、心拍数の低下、呼吸数の低下、酸素化の改善などに効果をもたらすとされています。痛みを伴う処置の時や睡眠や脳の発達を促進する可能性まで示唆されています。音楽療法には45~65dBの音量が洗濯されているそうです。
さらに最近の保育器では、お母さんの声で録音した歌や本の読み聞かせ、心音などを流せるようになっていて、さらに研究が進んでいくと期待しております。(図3)
終わりに
臨床工学技士は、NICUで人工呼吸器や保育器などのラウンドや点検をする機会があるかと思います。
その時の音について少しでも意識していただけたら優しい医療の提供に繋がると思います。(※配管を抜く時の音やアラームの音量、クベース窓の開閉など)
皆さまのNICUの音環境に関して工夫など教えていただけると幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。
あかちゃんまん/あか座👶🍼