こそあどの森シリーズ感想

こそあどの森シリーズがめっちゃ好きです。子どものころから大好きだったお話を、ボーナスがでて大人買いしたので、読み直しました。
今の感想は、今書かないと忘れてしまうので、各巻覚書程度に残します。

こそあどの森の物語 | 株式会社 理論社 | おとながこどもにかえる本、こどもがおとなにそだつ本 (rironsha.com)

~~~~~~(ここからネタバレあります)~~~~~~~

■ふしぎな木の実の調理法


子どものころのうっすらとした記憶で、一作目はいまいちというか大きな事件のない印象だったけど、めっちゃいいじゃ〜ん!!ってなりました。
1人で過ごす時間はとっても素敵な時間だけど、1人で過ごさざるを得なかった時と、人と触れ合う時間を過ごして試した上で1人でいることを選んでいる今とでは違う。選択肢がたくさんある中で、選んだ1人でいる時間がすごく豊かでいい時間というのはわかる気がしますね。
幸せだった時間を思い返して作る、っていうジャムのレシピが素晴らしい。


■まよなかの魔女の秘密


ポットさんはトメイトウごとトマトさんが好きなんだな〜ってのが愛!って感じでいいですね。子どもの時は冒険譚!って思って読んでたけど、これも印象が変わりました。

■森のなかの海賊船


ギーコさんが「船はあるんだ」って言った時の役者は揃った感がすごいです。
謎を謎のままにしておくというか、想像の余地があって終わるのがいいな〜。フラフラ一座の最後の劇は、10人の心の中だけにとどまっているというか。全てを説明しきらない余韻がありますね。

■ユメミザクラの木の下で


スミレさんのことが好きになるお話しだな〜。さみしさと怖さがうっすら残る綺麗な話ですね。

■ミュージカルスパイス


こんな自分知らなかったけどそれはそれとしてよい!ってお祭りを楽しめているギーコさんとスミレさんがいい!スミレさん、推しです。
ホタルギツネとトワイエさんの話も好き。言葉を得ることで感情の機微を知ったキツネの分かり合えなさが胸にきましたね。伝わらないことも伝わらない悲しさというか。それに、「分かり合える誰かを探しに行く」って答えるのが作家のトワイエさんっていうのも、いいなと思います。

■はじまりの樹の神話


これは四季がファミリーミュージカルの題材にするわ…という感想です。
つながり、というか、人と人、人とモノ、過去と未来。色々繋がって、繋がろうとすることで繋がっているということがしみじみ伝わるというか…
スミレさんの「逃げてもいい」って言葉いいよな〜。大人が子どもを戦わせない世界は信頼がおける優しい世界って感じがします。

■だれかののぞむもの


心が読めて、相手の望みを叶えるって、自分がどんどんわからなくなってしまうのがわかる気がするな〜
バウンダリーがなくなるというか。その境界を作る、相手の心を生かすって、生かそうと考える自分がいないとできないですからね。
フーに対して、みんながフーを否定しないのはいいな。フーを尊重している感じがします。

■ぬまばあさんのうた


きくこと、スキッパーがききたがっていたから、夕陽の雫の声がきけたんだろうなと思います。聞くのは聞き手にも準備がいるから、ふたごはききたいようにきいてしまったのかなという感じ。

■あかりの木の魔法


これは結構、子どもの時に読んだのを覚えてました!裏切られた気持ちがちょっとあったからかな〜
最後にイツカが宝石は返すけど、全てを話さないのが結構好きです。改心まではいかないけど優しい記憶で少し心が柔らかくなった感じ。最後、余韻というか、多くを語らずさらっと終わるのはいいよな〜

■霧の森となぞの声


これは子どもの時に読んだ記憶がほとんどないな~。
これも怖い話だよな〜。取り返しのつかなくなった可能性がありますよね。でも、怖くて終わりではなく、その経験があったからみんなの生活がちょっと豊かになるっていうのは、いい終わり方のように思います。

■水の精とふしぎなカヌー


スキッパーが心の中でこそあどの森の住民に相談しているところ、すごくよかったな〜。スキッパーの成長を感じました…他人を心に住まわせて、相手の気持ちと立場を尊重して自分の気持ちをはっきり言えるようになったんだな、と。
スキッパーの耳が大きいのは戦いとは対極の存在できくことは受け止めることの代表って、作者さんがインタビューで言ってましたけど、スキッパーは、たくさん受け止めて自分で考えられるようになったんだな〜と思います。
スキッパー、それはそれとして自分の世界や好きなことを楽しめる子なのもよいですね。世界に開けているのと自分の世界があるのは両立するので。

■水の森の秘密


慎ましやかに生きてそうなこそあどの森の住民に、乱獲の話をするのはなんだか面白いですね。
不思議を不思議のままにしているのはこそあどの森の素敵なポイントだと思うけど、日常の生活だって因果とかわからないことばかりで、何が原因かぱきっとわかるもんじゃないっていうのはそうよな~と思います。
水の森という画面の美しさと不自由が同居してるのもいい。
終わっちゃうのはさみしいけど、自分の世界を生きていた少年が世界に目と耳を傾けて、その上で好きなことを好きに進んでいく終わり方は好きです。


■こそあどの森のおとなたちがこどもだった頃

不思議と不思議のままにして説明を付けないところがすごく好きです…
スミレさんがますます好きになってしまうお話でした~。そして、またこのシリーズの続きが読めたってことが嬉しい!!出会えてよかったよ~!!

(おまけ)

■はじまりの樹の神話(劇団四季)


ファミリーミュージカル、はじまりの樹の神話、とてもよかったです〜!!!生の声量でドカンと正のエネルギーをぶつけられた気持ちです。

スキッパーは内向的な少年という感じでよかった。ただ、内面の細やかさはあり、ハシバミを気づかう、機微を読み取り尊重する感じがいいですね。もともと外に出さないだけで、とても内面が豊かな男の子なのよね…
そんなスキッパーが初めて友達ができて、ハシバミを通じて住民たちともふれあい、世界がぐんぐん広がって自分の思いを外に出すようになる、と成長を感じます。

ただ、スキッパーが別れの時、ひきとめられないのがスキッパーだなという感じがします。自分の思いより相手の気持ちを尊重してしまうのだなというか…
でも、スキッパーとホタルギツネの関係性は素敵だなと思います。すごく大切だけど離れることもできて、相手の決断を尊重できるというか。「あなたと過ごした記憶が宝物」ってめっちゃ殺し文句だな??という気持ち。大切な人やモノや思い出が自分の心の中にあるっていいことですよね。辛い時に心の中のその人が背中を押してくれることはあるもんね…

「実在しない生き物が子どもの心に椅子を作り、それらが去った後に実在する大切な人を座らせることができる」って言葉、めっちゃ好きなんですけど、今回、これまで物語ばかりだったスキッパーの心の中の椅子にちゃんと人が座った感じがしてよかったです。スキッパーの心の中にはホタルとハシバミが居座り続けるのだろうなと。
これをきっかけにこれからどんどんスキッパーの心の中の椅子には人が座っていくんだろうな〜という感じです。


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