無職とスキルの話

どういう経緯で無職になったのかは人それぞれではあるが、無職の身である人が就労を目指す過程で、アドバイスの一つとして「スキルを身につけること」が往々にして挙げられる。

そう、現実的な話として、スキルの有無は就労の難易度に大きな影響を与える。

履歴書に名前と住所、そして学歴と経歴をささっと書いて、面接で自己アピールと今後のビジョンを語れば大丈夫と簡単に言う人もいると思うが、仮に履歴書を書き終えたところで、どのようなスキルがあるのか相手に伝わらなければ、お祈りメールの山である。ましてやアピールとなるスキルが無ければ、それ以前の話だ。

さて最近、このテーマと大いに関連する話として、「ひきこもり」の記事を読んだ。

おそらく、ひきこもりに該当する人は無職というカテゴリーにも含まれるだろうから、ひきこもりの話も無職の話と同列に捉えることが可能だ。

また無職という馬鹿でかい主語を細分化する一つの道具として「ひきこもり」が有効に働くことも考えられる。

ひきこもりが社会課題の一つとして認識されて久しいが、その間、就職氷河期が重なったり、ブラック企業問題が顕在化したりと、高度経済成長の時代背景とは大きく異なっていることが明確に意識されている。

今もなお、ひきこもり状態に置かれている人は、これまた無職同様、様々な境遇を経てそのような状態になっているわけだが、少なくとも働くことの困難さを抱えている人はいるだろう。もし容易に働くことが出来ていれば、ひきこもってはいないからだ。

先の記事によると、ひきこもりの中でもその状態になってから10年以上経つ人の割合は少なくないと言う。

いくつの時から10年以上経過しているかにもよるが、仮に40代からだとすると、現時点では50代以上ということになり、ここから就労を目指すというのはかなりの困難を極めると誰もが思うだろう。正直もし自分がそのような立場なら就労よりも福祉に舵を切って、福祉を頼りに社会の隅っこでひっそりと生活を送ると思う。

でも福祉を頼るにしても、財源や社会的資源の話が必ずつきまとうので、まだまだ働ける年齢ならば、やはり世間の風潮としての「働けよ」という見方を受けて、苛まれる気もする。

ひきこもりの支援に対して行政が動いている地域もあるが、そういった支援の中身の一部には、スキル獲得や職業斡旋も含まれていることだろう。

率直に思うのが、どのようなスキル獲得を勧めているかだ。

五体満足なら人手不足と言われる職業に必要な資格、例えば介護職なら介護職員初任者研修や認知症介護基礎研修が挙げられるだろうし、もし年齢が若いのであれば、IT業界を視野に入れたスキル、またこの先の人生を考えて手に職を求めて専門学校への入学もあり得るだろう。

その一方で、何かしらの病気を抱えていたり、それほど若くない年齢だったりした場合はどうだろうか。あまりにもケースバイケース過ぎる話ではあるが、ただ自治体によっては、特に産業の変革に対応出来ていない地方の自治体ほど時代遅れなアドバイスになる可能性も否定できない。

だからこそ、ひきこもり状態から抜け出せず長期化している理由になってしまっていると、個人的には思う。もちろん無職も同じだろう。

ところでスキルには蓄積可能なストック型と不可能なフロー型に大別できると感じるが、出来ることならストック型が好ましいのだろう。

働き方が時代と共に変遷する中、スキルの蓄積なんて難しいのではないかと思う人もいることだろう。

スキルに資格も含まれると考えるならば、例えば医師免許はその代表格と言える。

自分は地方在住なので、都会の病院事情は知らないが、地方で例えば健康診断を受けるとした時、そこに登場する医師は九分九厘老人である。地方特有の医師不足も背景にあるかもしれないが、医師に対する報酬、拘束時間などを考慮すると、どうしても医師の中でも医療の最前線を退いた爺さん婆さん先生ということになりやすい。

「老人になってもまだ働くのか」という声もありそうだが、今回はそういう話ではなくスキル(資格)の有効性の話なので、いくつになっても働ける資格を所持している、つまりストック型の優位性を証明していると言える。

ただ資格でも、ストック型ではなくフロー型に分類されてしまうものもある。そういった類いは、資格そのものに頼るのではなく、その資格が陳腐化する前に自身のキャリアを積み重ねたり、人脈を広げる為に使ったりすることになるだろう。

そろそろ文章を締めるが、現在無職である自分が他の無職に対してアドバイス出来ることなど当然何も無く、具体的にどういったスキルや資格が好ましいのかは正直わからない。

ましてや一般的な就労が難しい病気も抱えているので、どうしてもイレギュラーな方法を優先的に考えてしまう。株式投資がまさにそうだ。

ただ世の中には、自分の知らない仕事がたくさん存在しており、同様にスキルや資格に関しても多岐に渡ると思う。もっと言えば、同じ職種であっても働き方や労働スタイルを考慮すればその幅はもっと広い。

そのことを考えたり、知ったりする機会というのは自分も含めて無職にとって有益になるだろう。今後も言語化練習がてらに、就労やスキルをテーマにしたものを文章にしていきたい。