外に出ると思ったよりも夏だったので。
昼。リンゴジュースだと思って飲んだら、お茶だったので少し残念な気持ちになる。今日も嫌になる程暑い。まだ始まったばかりだというのに、今年の夏も乗り越えられるか不安である。
夕方。帰りの電車に乗り込むと、学生の集団で溢れている。明日から夏休みになるところが多いようで、学生たちの顔は心なしかあかるい。「社会人になるとまとまった休みを取ることが難しくなるから、今のうちに死ぬ気で遊んでおけよ」と余計な一言をかけたくなる。
夜。最近は歌集を読むのにハマっていて、寝る前は紅茶を片手にパラパラとめくっている。短歌や川柳というとどうしても格式高いものに感じてしまう気がするが、現代のものはそうではないらしい。
七月、と天使は言った てのひらを
ピースサインで軽くたたいて
心電図の波の終わりにぼくが見る
海がきれいでありますように
体育館の窓が切り取る青空は
外で見るより夏だったこと
これらの短歌は『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』という歌集から引用した。男子高校生のふたりの7月1日からの7日間を短歌で紡いだ作品である。
学校、夏、放課後、光、友達、そこに不意に忍び込む死の気配。たった31文字で紡ぎ出される厳選された言葉の中には確かに一つの世界が存在していて、その世界を生きる2人の男子高校生のリアルで等身大の日常が生々しく息をしているような気がする。
こちらは同じ作者の作品で、Twitterに流れてきたもの。
夏がくると何かが起きるような気がしてドキドキする。花火とか海とか夕暮れとか、暑くて眩暈のするような何かが待っているのではないかと思う。自分の中で渦巻く泣きそうになる感情を短歌は言語化してくれているような気がする。
学生の時の思い出もそろそろ遠いものになりそうだけれど、この気持ちをずっと覚えていたい。