「推し、燃ゆ」を読了。
宇佐美りんさん「推し、燃ゆ」を読み終えました。はるか遠い昔に十代だった私ですが、不思議と遠い世界の話には感じなかったです。むしろ、これだけネットが普及した今、あらゆる年代、あらゆる地域、国で、「推し」の世界に没入することは、十分ありえるのではないかと思えました。後半ストーリーが動き出して、ラストまで一気に読みました。十代の頃は、自分のことがあまり良く分かっていないから、色々大変ですよね。私もあの頃に戻りたいかといえば、あまり戻りたくはないと考える方です。
「あとがき」の中で、創作にあたってのご苦労について、著者がコメントされておりますが、これだけ余計な言葉をそぎ落とした文章で、小説を一つ書き上げられるのに、ものすごい労力がかかっているのを感じました。語り部の年齢、環境に応じた言葉、文体を厳選しないといけない一人称小説の難しさがあるのですね。一人称小説だからといって、著者は、自分の感覚で語らせてはいけないし、これから他の一人称小説の作品を読む際には、意識してみたいと思います。
この作品の主人公「あかり」と違って、私個人は作品を解釈したり評価するのは苦手なので、それはあまりしませんが、この作品を最後まで通して読んで、三島由紀夫氏の代表作「金閣寺」をなんとなく連想してしまいました。一つの小説を読むことで、一つの共通した世界を共有することが出来ると考えています。他の方の読書感想ブログや書評を読んでいきたいと思いました。また、他の芥川賞作品、他の宇佐美りんさんの作品にも触れてみたいです。またひとつ、良質な読書体験ができました。
今回のブログも、最後までお読みいただき、ありがとうございます。私の「推し」の世界(例によって本の話になると思いますが)、近々書いてみたいですね。
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