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型・その4①(二月尽・春帽子)
上五〔季語(名詞)〕・下五〔動詞+「けり」〕
中七・下五なひとつながりのフレーズ
二物衝撃:中七・下五は、上五の季語とは関わりのない内容
二月尽青磁の花器を選びけり
季語:二月尽(初春)
春帽子ほほの泪を拭ひけり
季語:春帽子(三春)
・・・・・
本日より、最後の型・その4「けり」に入ります。
前回の「かな」と使い方がかなり似ている切字。
でも、その違いはかなりあるようです。
以下、できるだけコンパクトに抜粋個所を提示いたします。
「かな」と「けり」の違い
<「かな」は沈黙の切字>
*「かな」の余情が、一句を読み終わったあと上五・中七へ戻って、ふたたび十七音全体をつつむようなはたらきがある。
*「かな」は作者の省略したあれこれを、余情余韻という形で読者に伝えてくれる。
*「かな」は名詞・動詞・形容詞ほかにもつく融通性がある。
<「けり」は決断の切字>
*「こう言うんだ」とはじめからきめて、そのおもいを一句のリズム、なかんずく下五の切字「けり」に託す。
「けり」はきっぱり使う。
*「けり」は動詞にしかつかない。
追記1:上記は書の抜粋文なので、その中での追記ができず、ここに。
(まるさん、ありがとうございます。コメント欄参照)
*「けり」は動詞にしかつかない。
への追記。
*「けり」は活用語の連用形に接続
また、少々詳しくなりますが、参考までに載せておこうと思います。
「カ行四段活用・ガ行四段活用」の動詞に「けり」が付く場合は、二種類の言い方ができるが、Aの太線の使い方が、ここで求めている切字「けり」。
A B
湧く 湧きにけり 湧けり
叩く 叩きけり 叩けり
開く 開きけり 開けり
描く 描きにけり 描けり
泣く 泣きにけり 泣けり
歩く 歩きけり 歩けり
急ぐ 急ぎけり 急げり
行く 行きにけり 行けり
追記2:上記、Aのグループの「に」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形。
(佐藤郁良「俳句のための文語文法」p.28から)
最後までお目通しありがとうございます。
(今後、何かの折に役に立つ記事でありますように)
お時間がありましたら、詠んでみてください。
「切字」や「型」に拘らず、自由に詠んでくださっても、また、私の使った季語で詠んでくださっても全くかまいません😊
※決してお題(必ず詠む)ではありません。
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