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半夏生(時候・仲夏)、三句。

常々、季語「半夏生はんげしょう(時候・仲夏)」を詠むのは難しい、と個人的に思っていたのですが、マー君の投稿記事にて、本日(夏至から11日目)より小暑の前日、7月5日までが、半夏生と気づきました。
ならば、良い機会なので、得意な季語にしてしまおうと、探ってみることに。


まず、気を付けないといけないことは、今回取り扱う「半夏生」は、時候の季語であるということ。
同じ夏の季語には、植物の項にも「半夏生」があるのです。

半夏生(仲夏・植物)
ドクダミ科の多年草。別名、片白草かたしろぐさ
名前は半夏生(夏至から十一日目)の頃に白い葉をつけることによる。また、葉の半分が白いから半分化粧の意も含むという。

新版「角川大歳時記」P.801より抜粋
半夏生の頃に白い葉をつける、片白草。


ですが、時候の季語は、「半夏」すなわち「カラスビシャク」が生え始める、という意味。
上の片白草とは、かなり様相の違う花です。(マムシグサに少し似ていますよね)

半夏= カラスビシャク

そして、このカラスビシャクは、漢方薬の「半夏」であり、また、根本につくのが、食用の「ムカゴ」であります。


     ・・・・・

ということで、時候の季語としての半夏生の例句を。


バリウムの喉につかへる半夏生  脇本幸代

塩入れて湯の立ち上がる半夏生  正木ゆう子

平凡な雨の一日半夏生      宇多喜代子

病室に降る煤のあり半夏生    石田波郷

膝折つて爪切る妻や半夏雨    冨田みのる


これら例句でお気づきかと思いますが、今回発表のあった、俳句ポスト「薄暑」と同じく、時候の季語である、ということは、「景をできるだけ具体的に」が大切、ということです。

そして、個人的には、半夏が漢方薬でもあるので、何となく医療系の匂いを纏う、とか、田植えの終期、であること、も念頭に置きつつ、な感じがしています。


前置きが長くなりましたが、以下、即吟三句。

缶詰の蓋で指切る半夏かな

半夏雨主治医の顎に無精ひげ

型紙の深き襟ぐり半夏生 (「しりとり俳句」にて既出)


今日の学びを生かして、もう少し詠んでいこうと思います。

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卯月紫乃
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