ショートショートの「朗読」で思ったこと。
ピリカ編集長が主催している「ピリカ文庫」。
この企画への参加の機会をいただいた私は、かつて脳みそを散々捻り上げた。(参照:「ショートショートの難しさを、知る」)
今でこそ明かせる(大袈裟笑)編集長からの依頼内容には、以下の3項目の括りがあった。
① 「タツナミソウ」が題材。
➁ 文字数800字。
③ テーマは「前世・来世」。
(これらは、編集長とどーなつ。さんとの話し合いで、ふたりの作品が違うタイプのものになるための括りでもあった)
このテーマ、私には非常に難しかった。(楽しくもあったけれど!)聞くだけで「ちょっとオカルト?」になりかねない。
そして、どんな方向で描いていこうか? とりあえず、花言葉でも調べてみるか、と思って調べてみたら、あら大変! とんでもなく意味深な花言葉じゃないですか。
ある意味、テーマよりも怖い(笑)
下手したら「怪談」にもなりかねないし、「怨念」すらも出てきそう。
どうする、私???
そして、構想1週間・推敲1週間の末に完成、編集長のOKもいただけて、無事世に出たものがこれ。(ぎりぎりオカルト回避)
正直、ホッとしたし、多くの方々に読んでいただけて大変嬉しかった。
ありがたいな、と心から思った。
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そして、昨日、この「タツナミソウ」をピリカさんが(編集長としてではなく)ラジオで朗読してくださった。
この朗読を拝聴し、強く思ったことがある。
(お時間のある方は、ぜひ聴いてみてください)
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実は、私はこのラジオに関して、裏方としてお手伝いをさせていただいているという特権(?)で、ピリカさんと戌亥ちゃんが録音を終えた段階、公開前に1度試聴をした。その時の放送内容に私は〇を伝えたのだけれど、その後、1か所訂正すべきところが発覚し、お二人は最初から取り直しをされたのだ。
新しい朗読をもう1度試聴したとき、私は「え?」と驚いた。
ピリカさんの読み込みがずっと深くなっていたからだ。
ラジオが始まって3回目。事前に色々と意見を出し合い、念入りに練りはしたものの、なにせプロじゃない。まだまだ試行錯誤の録音だ。
ピリカさんも、戌亥ちゃんも(次回に戌亥ちゃんは、どーなつ。さんの「タツナミソウ」を朗読する。ちなみに、どーなつ。さんのテーマは「ファンタジー」)相当練習なさったに違いない。
練習を重ねたうえでの第1回目録音終了(もしかしたら、私が知らないだけで、数回録音し直している可能性も高い)の後の取り直し。
恐らく暗記するほどに繰り返し読まれたことだろう。
ピリカさんというクリエーターさんが、私の拙い800字を、精一杯に読み解いてくださり、そこにご自分なりの理解を加え、色も加えて朗読をしてくださった。
その声の色は、私が「タツナミソウ」を書いたときのイメージとはとても違っていた。
私の書いた「タツナミソウ」は、読み手のピリカさんの、まさにお人柄どおり「決して押しつけがましくはない、でも深い愛情と、さばさばとした明るさ」の「タツナミソウ」に変化したのだ。
私自身も、時間をかけ、今の私の力をなんとか集めて創作した「タツナミソウ」。まだまだな内容だけれど、思いはたくさん籠った作品である。
自分に真っすぐに向かい合って、真剣に書いたものを、自分以外の方が、これまた真剣に読み解いて朗読してくださる。
なんと貴重な経験なのだろうか。
なんてありがたいことなのだろうか。
そんな思いをもって、もう一度朗読を聴いてみると、涙さえ浮かんでくる。
ピリカさん、ありがとう、って抱きしめたくなる。
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どーなつ。さんと私の「タツナミソウ」は、ピリカ文庫では第1回企画だ。
「タツナミソウ」にはその後、hazamaさんが作品を加えてくださった。
第2回の「雨」には、戌亥ちゃんの作品、すーさんの作品。
第3回の「あじさい」には、yuca.さんの作品、高遠菜萌さんの作品。
が加わっている。
これらも全部、ラジオでの朗読が企画されている。そして、
* 作者の思い描いた作品
* 読み手が感じた作品
* 朗読者が読み解いた作品
* 聴き手が感じた作品
と、ひとつの作品が「新しい羽根」をつけて高く飛び立つのだ。
素晴らしいなあ。
ねじりさんの、ラジオへのイラスト。
カニさんの、文庫へのロゴデザイン。
まだ note 半年に満たない私だけれど、noter さんたちに秘められた才能ってすごいと知った。
それぞれの才能が集まって新しい化学変化が起こることを、最近目の当たりにしている私は、もっと大きな化学変化が起こることを期待してしまっている。
「新しい羽根」をつけて、もっと飛び立とうよ!って叫びたい。
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最後に、私の「タツナミソウ」朗読が投稿された昨日、5/26 は、ゆうさんと私の結婚記念日だった。
これ、全くの偶然! びっくりしたし、嬉しかった!
・・・・・ end ・・・・
タイトル画像:結婚記記念日のお祝いに、キューピッドさんからいただいた花束。(私の好きなカラーの花が束ねられている)