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むかしむかし。奥州の雪深い寒村に太助という木こりの若者がいた。 ある秋の夕刻、山仕事を終えた太助は下山時に足を怪我し、帰りの峠道で動けなくなった。そこに色白で顔容美しい人形のような女が現れた。峠道から少し森に入った女の小屋で手当を受けた太助は無事に村に帰ることができた。 足が回復した太助は礼を言うため女の家を再び訪ねた。女は名はハルといった。それから太助は山仕事の帰りには必ずハルの小屋を訪ねた。はじめは無口だったハルも次第に打ち解け、あるとき太助にこう言った。 「燃え