.𓈒𓂂𓂃◌𓈒𓐍 「あのさ」 よく分からない数式を唱えた教授 頬杖をつき長い髪で表情が隠れた隣の君 やけに冴え渡った頭でどうにか君が 気を向けてくれないかと考える 「さいきん… 最近、何かいい事あった?」 もっと何かあっただろ 小さく息を吐いたのが聞こえて 君が起きていたことに安堵すると共に おそらく相手も持ったであろう呆れを 無理やりかき消す 「 はなにかあった?」 「え 僕?」 まさか質問を質問で返されるとは 最近 何かあったか ……昨日 今日 「…暖かく
⿸² .𓈒𓂂𓂃◌𓈒𓐍𓈒𓂂𓇬。◌ この匂い なんて言うんだっけ 駅に向かう近道 確かここも君が教えてくれたっけ でもあの日はこの道を使わなかったな 今日は少し遠回りして帰ろうなんて言ってたら 雨が降り出して 濡れた服、気持ち悪かったわ あの時は蒸し暑かったしね でも少し 楽しかった 僕の中のあの日で止まった君と話してふと 虚無感に襲われるこの感覚 何回味わったらいいのだろうか この先ずっとでしょうね なんて笑ってるんだろうね あーあ 思い出せないな こうやって君との会話
⿻ 海月みたいだ 𓈒𓂂𓂃◌𓈒𓐍𓈒𓂂𓇬◌ 「かいげつ?」 海月と書いてくらげと読むらしいと新発見があったのはいつも通り隣に君がいた時だった 僕の乏しい脳みそは君といると 色んなことが知れるけど 当の本人のことはまだひと握りにも 満たない気がしている蒸し暑い日 「海にたゆたう姿が月に見えなくもないでしょう」 たゆたう とは。 きっと由来はそんなところでしょうね と涼し気な顔で本のページをめくる 君といる時の紙と紙が擦れるこのかわいた音 僕は結構好きだった 「海に揺らめいてる