東京の合計特殊出生率が1を切ったらしい。
少子化が叫ばれて久しい。
東京の合計特殊出生率が1を切ったそうだ。
ところで私は合計特殊出生率を知らない。
合計特殊出生率で少子化を判断するのは愚か者だ、みたいな記事も読んだ。
ではいったい合計特殊出生率とはなんなのか?調べてみた。
まず始めに、「出生率」とはなにか。これは、人口あたり何人産まれたか、である。
実際には、ある期間(普通1年)の出生数を、その期間の真ん中の人口で割るらしい。
10人の村で、
1日目と4日目と8日目に1人ずつ産まれ
3日目に人が死んだとする。
期間を9日とすると、
中央の5日目の人口は11人。
出生率は3/11=0.27
というわけだ。
期間が長くなっても人口はあまり変わらないが、出生数はおおよそ期間に比例して増大する。
まあ非常に使いづらい値といえる。(おおよそ平均寿命の逆数が、人口増減の分水嶺となりそうだ)
そこで、「合計特殊出生率」の出番。
15歳から49歳の女性を、年齢別に見ていく。
これらの女性が、1年間で一人当たり何人産んだか、という値を計算する。
その値の総和が合計特殊出生率だ。
例えば、
15歳が5人いて0人産む
20歳が6人いて1人産む
25歳が8人いて2人産む
30歳が12人いて3人産む
35歳が10人いて4人産む
40歳が9人いて3人産む
とする。
すると、
0/5 + 2/8 + 3/12 + 4/10 + 3/9=1.233
で、合計特殊出生率は1.233
ということだ。
合計特殊出生率は、少し直感に異なる結果を出すこともできそうだ。
たとえば、20歳、25歳、30歳の女性人口がそれぞれ10人で10人出産したとする。
35歳の女性が99万9970人いて、誰も出産しないとする。
このとき、人口100万人で、30人出産したため、(女性における)出生率は0.00003と極めて低いが、合計特殊出生率は、10/10 + 10/10 + 10/10 + 0/999970 = 3 となって極めて高い数値ということになる。
このような数字のマジックができてしまうことが、合計特殊出生率は意味が無いとされる所以かもしれない。
また、合計特殊出生率は社会規範が大きく変わらないということを前提においている。
突然何らかのキャンペーンで25歳女性の出産数が増えた場合などは、合計特殊出生率が突然高くなったりする。
合計特殊出生率は、上記で見たように、高く偽装することは簡単だが、低く偽装することは出来ない。
たとえば、(女性における)出生率が0.5であれば、合計特殊出生率は、必ず0.5以上になる。(実際には30倍くらいになる)(おそらく三角不等式というやつだ!)
さて、東京の合計特殊出生率は0.99となったそうだ。これをどう見るか?
おそらく合計特殊出生率が高いことにそれほど意味はないと思うが、低いことにはそれなりに意味を見いだせる気がする。
合計特殊出生率が低くなる要因は、
・出生数が減る
・出生率が各年代で平均化される
の2点なので、単純に出生数が減る以外にも、出産の高齢化や、出産格差が広がると合計特殊出生率は低くなるようにできている。
逆に言えば出産の選択肢が広がったとしても合計特殊出生率が低くなるようにできている。
どういう意味がある数値なのか、という問題はかなり難しいようだ。
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