日本学生支援機構には感謝しない
功罪大きい日本学生支援機構。
私は父親の薦めで、借りられる限りの満額を借りた。
第一種が通らなかったので、第二種の月10万円だ。
この選択は振り返れば大正解であった。
大学生になると、毎月96500円が振り込まれる。
借りたはずの10万円が受け取れないのは、連帯保証人を付けられなかったための機関保証料というやつだ。
45か月借りたため、返済しなければいけない金額は450万円、受け取った金額は434万2500円だ。
15万7500円は家庭環境の故の手数料。それなりに理不尽に感じはする。
ここから支払ったのは年間54万円の学費、教科書代、車の免許取得、そして留学費用。
留学前に2回の渡航(そのうち一度は語学留学)と、入試での渡航があり、さらに留学開始分で4往復分の飛行機のチケット、家賃の3ヶ月分、などなど。
ちょうど奨学金を使い切ったので、日本人が経営する塾から給料を前払いで100万円貰ってバイトをしたりした。
貯金0円での留学生活も、無事(無事ではなかったことも度々あったが…)終わらせることができた。
留学中は経済的困難による返済猶予を受けられる。
それに加えて留学先ではその国での給付型奨学金を受けることができ、生活援助も受け、仕事にも恵まれたことが大きい。
外国人なはずの私を全力で保護し、支援し、応援してくれたこの国への感謝は大きい。
世界的に(日本もご多分に漏れず)外国人排斥の流れが大きくなっているなか、本当に恵まれていたと思う。このため私は外国人排斥には極めて消極的だ。(一方で治安悪化も肌で感じているので、その意味ではとても理解できる)
コロナが流行って、仕事を失い、わずかな失業保険金で日本に戻ってきて、手持ちは現金の2万円のみ。
実家にころがりこんで、友達に片っ端から連絡して支援してもらった20万円ですぐにノートパソコンを購入。
この選択も結果的には大正解で、なんとか仕事を見つけて生き延びることができた。
最終的に残ったのは、企業での仕事と、パソコンと、奨学金の返済450万円。
そして、留学で得た能力と、生き延びる力。
奨学金はありがたいことに借金ではないので、新たな借金(ローンとか)の審査には影響しない。
ただ20年間追加で課せられた2万円の住民税みたいなものだ。
つまり、今の私は日本学生支援機構のおかげで成り立っているし、最大限恩恵を享受できたといえると思う。
ただ、それでも日本学生支援機構に感謝しようという気にはならない。
ちょっと両親の経済力と、親戚の理解が無かったというだけで、社会に出たとき500万円の負債の有無が決まるんだからなぁ。
子どもの視点からすれば理不尽だと思う。
若い頃の苦労は買ってでもしろなどというが、お金の苦労の時間を全て勉強に当てられたら、よっぽど身につけられた能力は大きかっただろう。
自分の子供には何を与えてやれるか?