半島の昴

農園で働きながら、本を読み、日々思いついたことを書く。 #環境問題 #社会正義 #フェミニズム #脱植民地支配 #脱資本主義 #community supported agriculture #環境再生型農業 #不耕起栽培

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農園で働きながら、本を読み、日々思いついたことを書く。 #環境問題 #社会正義 #フェミニズム #脱植民地支配 #脱資本主義 #community supported agriculture #環境再生型農業 #不耕起栽培

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フランス農民一揆とベジカレー

wwoof*で一週間ファームに滞在していた マリオン(Marion)とコンスタンス (Constance)。 パリのビストロでシェフとして働き、 帰国後は郊外で店をオープンする予定だそう。 一緒に収穫をしたり防虫ネットを張ったり、 休憩時間にお茶を飲み、野菜の処理をしながら、 フランスでの農業従事者によるデモのことや、 フランスで話題のフェミニストが書いた本のことを話してくれた。 フランスには大きく分けて2種類の農家 (①大規模慣行農家、②小規模有機農家)がある。 日本を

    • 自己責任でなく、相互扶助で生きよう

      今日は普段野菜ボックスを定期購入して下さっている皆さんを畑にお招きして、相互扶助論の話。 . 政府が社会福祉、教育、公共サービスをどんどん縮小していく中で、自己責任論が今までになく蔓延る世の中。 自己責任論を生存の前提に置いたまま話を進めると、コミュニティ内の人間関係は蔑ろにされ、困った時に助け合う、という考え方は後回しにされる。 自分に購買力さえあれば、災害時や何か困難な状況に直面した時に“自分でなんとかできる”から、言わずとも他人にも同じ考え方を求める。 貧しいのも、生き

      • ペザントの独り言 〜わたしたちは語ることができるか〜

        この時期になると、朝起きてもまだ外は暗く、窓から入り込む風は冷たい。 空は段々と明るくなり、今日も朝日に向かって車を走らせる。時折すごくまぶしい。 まだ人気のない畑で、鳥のさえずりと、軽トラのエンジン音と、荷台で揺れあうコンテナが響く。 しばらくして、積んだ野菜を地面に下ろす鈍い音がする。 新聞紙や段ボールが擦れ合い、ハサミの音、カチカチと鳴るペンの音が行き来して、それに交差しながら、それぞれに挨拶が行き交っている。 やがてコップが触れ合う音とともに、お茶の時間が始まる。 い

        • 稲作の豊かな実り

          米は食べれば糧になる。 でも米作りはそれだけじゃない。 藁は再び微生物の住処へ。 戻す場所は田んぼでも畑でも。 ばら撒けば分解され、敷けば防草にも使える。 長さを揃えて一つに束ねれば、ほうきだって作れる。 大きさも長さも、色合いも自由自在。 次は飾り物か、かご作りか。 水に浸して紐代わりにして、野菜を束ねてもかわいい。 籾殻は、つい最近まで預かっていた、ひよこの敷き布団に。 フカフカで、歩くたびにカサカサ音がした。 あっという間だったひよこ保育園。もう音はしないけど、残された

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        フランス農民一揆とベジカレー

          ガザ侵攻から一年。を小さな畑で想う

          2023年10月7日から、一年が経つ。 抗議活動のシンボルでもあり、自由を求める闘いの象徴として使われてきたスイカと、畑の休憩時間に分け合ったスイカは、果たして接合していただろうか。 この夏の酷暑から、畑の面々を幾度となく救ってくれたスイカ。あの瑞々しい一切れを頬張るたびに、それが自由を求める闘いのシンボルだと思いを寄せられていただろうか。 目の前のことに頭が一杯になり、スイカを目の前にしてなお、絶え間ない暴力によって命を脅かされている人々や、大切な人を失った人々や、無

          ガザ侵攻から一年。を小さな畑で想う

          種まきの9月に雨が降らない

          秋だ!と浮かれて喜んだ、あの瞬間はどこへ... パーカーが欲しかった昨日と、長袖で出勤したことを後悔した今日。 意識を向けなければやり過ごせるくらいの、軽い頭痛が続いた昨日までの数日、かと思えば、今日は冷たい飲み物の喉ごしが恋しくなった。 秋の到来に心躍った、あの一瞬の高揚は、どうやら本当に一瞬で打ち消されたらしい。 夏と秋を、行きつ戻りつして、蒸し暑い空気と心地良い涼風が、交互に通り抜けてく。肌寒い朝と蒸し暑い午後が隣り合わせの日々。明日はどっち?な心境。 待っても

          種まきの9月に雨が降らない

          デラウエアとスズメバチ

          朝夕が涼しくなっただけで秋だ!と高揚してしまう。ちょっと元気に、幸せになれる。 最近デラウエアの甘い汁を吸いにくるスズメバチたち。 来る時は一斉に、気付いたらパッといなくなる。 誘い合わせてくるのかな。私たちには聞こえない周波数で。 学校帰りに寄り道する感じ?それとも仕事終わりの一杯? はたまたコンビニ前の屯(たむろ)? 「美味しい汁飲めるところ見つけたんだけど、行かない?」 いずれにせよ可愛い。(たまにアシナガバチなど色々な蜂が来るので喧嘩もしている) たまに物陰から

          デラウエアとスズメバチ

          農家番外編 韓国旅

          これまでの思考や行動や選択の数々は、先人たちの歩んだ轍を後追いしているに過ぎないのかも知れない...。 ふとそんな思いが頭をよぎった今回の韓国旅。 なんて、ちょっと感傷に浸ってしまうのはきっと、短くも濃厚だったソウル行脚の日々が、充実していたから。 この数年間で、隣の国の社会問題や、社会そのものを揺るがす事件のことを知り、社会の激動に翻弄されてきた、小さな、小さな個人の葛藤や深い悲しみに触れた。 社会の背骨にある朝鮮戦争では、南北合わせて何百万人もの個人が犠牲となり、

          農家番外編 韓国旅

          夏の果てに沈黙について考える

          夏の果てのひととき . 祖母きいこさんの浴衣で磯に降りて盆踊り . 遠くの花火よりも水面の反射と浜辺の犬に気を取られる . 夕暮れの田んぼで時の流れを感じさせるのは虫の声だけ . 一瞬風が通り抜けた夕涼みの畑 . 田んぼでミズアブの猛攻に遭い、その(刺された)足で向かったMPの、なぜか懐かしく感じられる灯り . この時期特有のもの悲しさは、生き物や植物の目まぐるしい移り変わりや過ぎていった人に思いを馳せたり、時の流れの速さにハッと現実に引き戻されたりして、じわりじわりと沁

          夏の果てに沈黙について考える

          善きことはカタツムリの速度で

          眠気と暑さでショートしかけた意識で、溢れ出る汗を拭い、だるさを残した身体を奮い立たせて、気がつけばもう8月も後半に差し掛かろうとしている。 蚊に刺されないように、日焼けしないように、草負けしないようにと、意識的に羽織っていた長袖のシャツも、堪えきれず結局今日も脱いでしまう。 暑さに観念してあらゆる対策を放棄した肌は、着実に色濃く仕上がっていく。都会に足を伸ばすとちょっと浮きます。 これまで何度も訪れた夏の中でも、「アツい」とつぶやいた独り言の数は過去一のはず。(そして気候

          善きことはカタツムリの速度で

          生きることが抵抗だ

          東京都知事選挙を終えた直後の数日間は、荒ぶる農民と化し、粗野な言葉や愛想ゼロ対応を撒き散らしては周囲の皆さまにご迷惑をおかけしました。。。 鼻息荒くフガフガしていた農民は頭を冷やしました。冷やした結果、前よりも、政治が面白くなりました。 「最近政治に関心を持った人は、負け慣れていないからすぐがっかり(&挫折)しがち」 はい、私です。 今回の選挙結果はミクロな点でしかなく、下流から上流へと、過去の点を遡って政治風土や政党の移り変わりを捉える視点が抜け落ちていました。 広い

          生きることが抵抗だ

          畑仕事 ◉お世話係編◉

          夏ですね。 畑では、7月からサマータイムが適用されています。 夏を乗り切るための要素、早朝×時短(×昼寝)を 積み上げた結果、早朝6時〜昼12時という 超ホワイトな勤務形態が爆誕。 これ以上ない環境で、それでも口をひらけば 「あつい、あつい」と言って大汗をかき、 あっちの圃場からこっちの圃場へと 水筒引っ提げてウロウロする、豊かな日常です。 夏の畑の仕事は、毎日のルーティンの他に、 野菜の収穫と調整・出荷、 草取りやマルチング、芽かきなどの圃場管理、 以前の投稿で少し触れた

          畑仕事 ◉お世話係編◉

          「書くことで動かす人」

          ❝__行動主義は、自分だけでなく まわりの世界を観察しつつ、 可能な場所と時間に行動をとることを意味する。 私たちは手紙、電話、請願などのロビー活動、 あるいは行進、公演、組織の構成、ストライキなどのやり方で問題に関与できる。 大義名分だけでなく、 問題に介入する理由はさまざまだが、 その根源には参加の重要性、連帯感、 他者と地球環境への責任、無力感よりは 希望を抱いて生きようとする欲求などが 行動を引き出すという共通点がある。__❞ (ルーシー・トレロア 「私たちの居場

          「書くことで動かす人」

          ファーム事件簿〜虫編〜

          先月、畑の鶏舎にたぬきが夜な夜な現れては 鶏を襲うという通称“怪盗たぬき事件”が勃発。 2ヶ所に分けていた鶏舎を、 より強度が高くて安全な方に集約したり、 周辺を補強したり。 試行錯誤の末、なんとか事態は収束。 これでファーム事件簿もひと段落かと思いきや、 目下頭を抱えているのが、トマトの食害。 怪盗たぬきよりも逃げ足は遅いけれど、 頭数はめちゃくちゃ多い、オオタバコガという虫。 ハウスで育てている大玉トマトの花を枯らし、 茎や果実に穴をあけては食害し、 葉っぱや果実にウ

          ファーム事件簿〜虫編〜

          『わかりやすさの罪』

          「それ、一言では説明できない・・・」 という内容について質問を投げかけられると、 どこから説明しようか、 頭の中でいくつも選択肢が思い浮かんで答えに窮する。 相手からボールを投げられたあとの、 わずか0コンマ何秒の空白で、そもそも相手は どんな回答を期待しているのかを逡巡。 1から10まで知りたい人だろうか、 それとも結論だけ知れば満足か。 言葉に確信を持たず迷いながら、 見切り発車でボールを投げ返す。 日常会話ですでにこのアップアップ状態。 というか、物事はいつだって

          『わかりやすさの罪』

          不耕起田んぼコモンの動的平衡

          耕作放棄地を田んぼに再生し、 無農薬・無化学肥料で米を育て、 さらに稲の多年草化栽培を試みるという 今までにないコミュニティ、 「不耕起田んぼのコモン」は、 フェミニズム、エコロジー、コミュニズムという、 3つの思想哲学を共有している。 その思想哲学を実践に落とし込もうとすると どうなるか。 コモンの定例会は月1回。 田植えの時期などは月2回くらい集まる。 ラジオ体操から始まり、 一日の作業について話し合い、 チームに分かれて作業する。 1時間くらい経ったらお茶休憩、 進

          不耕起田んぼコモンの動的平衡