「ハームリダクション」断酒か減酒か?
アルコール依存症は「否認の病」と言われてきました。精神医学的治療は難しく、通常の対話型カウンセリングもあまり有効ではありません。治療の中心はAA(アルコホリック・アノニマス:米国発症の断酒グループの原型。社会的権威を排除しアルコール依存症者が匿名で参加し体験を語り合う。)断酒会(AAが日本的に改変された組織)などの自助グループに参加して行くことでした。そこでは、「アルコール依存によって自分自身と周りの人に破壊的影響を与えているが、自分の力ではアルコールをコントロールできない。」ということを認め助けを求める、ということが出発点になっていて、「断酒」(飲まない生き方)が基本目標になります。
ところが最近ハームリダクション(害を減らす)という考え方が取り入れられてきました。もともと、ヨーロッパで薬物中毒の蔓延に対して厳罰主義で臨んでも、非合法化し効果がないだけでなく、注射器の使い回しによってAIDSが拡がったりマイナスが多かった。逆に、注射器と注射室を用意し、代替薬を処方したりする事が予防や治療に有効であった、という経験から出てきた考え方のようです。
ハームリダクションの考え方は日本でもアルコール依存症の治療理論にも導入されつつありますが、まだまだ議論の多いところのようです。
おそらく伝統的な断酒を支えるグループも断酒の目標もこれからも必要でしょう。生きるためには断酒しかない人もいます。
ハームリダクションの考え方の適応の余地は、軽症のアルコール依存症(?)の人が減酒が可能かどうか試みる事、また、お酒の飲み方を考えるという入り口に立てない人が、この考え方で自分の飲み方に目を向けられるか、という事でしょう。
このような潮流の中、昨年これまでの抗酒薬とは異なる減酒薬(ナルメフェン)なるものが発売された。抗酒薬は飲酒するとアルコールの分解を妨げて気持ち悪くなるものだが、新しい薬は脳神経系に働きかけ、飲みたい意欲を抑制する薬だという。
断酒しかないか、減酒(適酒)もありうるのか、まさにわたしのテーマです。
飲酒カレンダーです。金曜日は肉を焼いてビールとワインを飲みました。日曜日も350㎜缶を飲みました。どちらもあまり美味しく感じなかった。