ライト

星ではなく飛行機だった。高速道路の走行音が騒がしい海の音に聞こえる。空洞に吹き抜ける風が過ぎて秋だった。鯨みたい、と指さすので見てみると、酔った若者のグループから昇る花火の煙がたしかに鯨に似ていた。誰かが振り回したハンドライトが一瞬鯨を照らして過ぎていく。その光景は手術台を思い起こさせた。缶を握ると視界ごと潰れるみたいにうるさかった。回転音とライトが横切っていった。小さい赤信号をじっと眺めるような違和感がする。足裏からだった。靴に小石みたいなものが入っているのだと思った。秋だから涼しかった。涼しいから汗はかかなかった。不快感がないから存在感もなく、そのまま空気に溶け込むかもしれなかった。

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