ひらがなエッセイ #38 【よ】
成人式は地元のホテルで盛大に行われたのだが、私はそのホテルでアルバイトをしていたのでスタッフに見つかるや否や裏通路に引きずり込まれ、いやぁメデタイメデタイ、とりあえず飲んで飲んで、と無理矢理激励の酒を頂き、開始直後に出来上がってしまい、普段どちらかと言えば物静かな性格の私がパーティー野郎と化して、おー久しぶり久しぶり、写真撮ろう、写真、いやぁーメデタイメデタイ、二次会、勿論行こう、三次会でも四次会でもいてこましたる、ウッホ、ウッホーってな具合に過ごした。
気が付けば私はスーツ姿のまま、自宅の押入れに頭を突っ込んだまま気絶していた。とりあえず着替えよう、とスーツを脱ごうとしたら内ポケットからコロッケが出て来た。どないなってん。私の成人式の思い出は、酒に持ち去られた。あぁ、お酒は怖い怖い。
お酒の失敗談は数え上げればキリが無く、真っ当に生きている人々に対して語るなんて劣等感で嘔吐しそうになるが、それでもやはりここはグッとこらえて語らなくてはいけないのではないか、と、よくわからない使命感に背押されて、今日は【酔い】について前後脈絡も無く断片的に書いてみよう。
しかしこれは偽りの無い私と酒の歴史である。
薄暗いBARでXYZ/人生初めての敗北/年上の美容師/oasisのCD/友人の彼女/二日酔いと罪悪感は似ている/伝説のプロレスラーに担がれてVIP席/数人の美女の前に私を放り投げ/豪快に笑っていた/良い匂いがした/貸切/中華料理店の回転テーブルで全裸の先輩が回っていた/無視無視/ビールのお代わりは/ピッチャーしか許されない/ライブより激しい打ち上げばかり/私は記憶が無くなる寸前まで/宇宙と深海の話/ダイオウイカの話題でピッチャー/イカとビール/素敵で無敵/酒の強さを競い合い/真夏に震えながら半歩ずつしか動けない/あっ、ちょっ、休憩休憩/10分程度の距離を1時間かけて移動した/有意義なる無駄な時間/うどんを吐く彼女/机に登る友人/風呂場と間違えて全裸でクローゼットに入っていった親父/扉が一度完全に閉まった/中でどうなってんねん/泣く奴/唾を吐くような仕草で嘔吐する女子/爆笑/合コン/寿司屋でアルバイトしているうっすら髭が生えている女の子/剃れ/京都大学の女の子とドストエフスキー/数年間粘着された/優しい奴/リュックの上に嘔吐したけれど/大丈夫大丈夫/人生80年/とか言って/そのまま背負って帰った/目覚めたのは留置所だったと言う友人/怒る奴/従業員の態度が悪いと/厨房に入って行って喧嘩/まぁまぁまぁまぁ/落ち着いて落ち着いて/自分のペースで飲んで潰れる奴/墓場の横のラブホで/ここは生と死の狭間ですね/やかましい/あぁ/それでも何よりも/覚えているのは/みんなの楽しそうな表情/お酒は楽しい/まだまだ書きたいけれど/今日の所はこの辺で/
雑に書いた。とても雑に書いた事をお詫び申し上げる。お酒が無ければ、今いる周りの人達とは出会ってなかったかも知れない。それはそれで豊かな実りある人生だったのかも知れないが、私はお酒を選んだ。それで良かったと、今でも思う。
さてさて、今日も飲むか。
良い週末を。飲み過ぎには気をつけて。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。 基本的に無料公開しています、お楽しみ下さい。