THE MUSIC MAN観劇感想
まえがき
のっけから観劇と違う話になってしまいますが、2023年の3〜4月は覚えている限り1,2を争う勢いで短期限のやらなきゃなことが山積みで、体調とスケジュール管理がカオスを極めつつあり、毎日いっぱいいいっぱいでした。
怒涛の日々の一部はTwitterで公開制限つきで書いてたものの、とりあえず劇場がとても遠く感じられるくらい体感では波に揉まれ続けており、公演が近づくにつれて諦めたり手放したりしたチケットもそれなりにあり、「本当に私行ける?!ちゃんと楽しめる?!」と割とはらはら、ギリギリまで綱渡り(同年3/27観劇の太平洋序曲もその怒涛の中で観られた貴重な一回…)。
FCに入るほど応援している方が出ていらっしゃらないのにそれでも行くか、今行かなきゃ本当に後悔するのか、と何度も自問自答し、その上で行こう、観たい!!となんとか体調を間に合わせて現地に行った理由は、この3つ:「坂本昌行さん主演」「どの席からでも必ず楽しめる安心の日生劇場」「剣幸さんが生で観られる!!」
やはりネタバレします
このnoteを公開する2023年5月初旬時点では、全国ツアーこれからなので、本編の演出含めて一切ネタバレ避ける派の方はここから下は避けてください。
今回も、my初日にしてmy楽だったたった1回の観劇について、個人的にツボり滾ったわーきゃーを順不同で綴り、後々自分で読み返して興奮を思い出すのを目的に書くので、分析・考察とかは無いです。むしろ本国版や初演・再演版も見ていないので、多分とんちんかんな呟きもおそらくあり、そこは静かに笑って流していただけたら。。
かなりムラがある書き方におそらくなるので、読んでくださった方の推し様がちゃんと言及されていない可能性も大です。
書くにあたってのお供は、公式Webページ、プログラム、当日劇場で配布されてた用語集(観劇中のはてなを最小化するためなのか、馴染みのない言葉の解説がぎっしり載った二色刷りのA4片面印刷が用意されており、「親切〜〜〜!!!」と感激)。
印象的だったシーン・登場人物について
ヒル教授の登場。バリッバリに「ミュージカル〜♪舞台〜♪」な登場の仕方(つまり大変華やか!!)で、ライトが当たって名乗る瞬間の教授に、マスクの下で笑顔全開になりながら拍手。ちなみに列車の中でずーっと読んでたなんたらタイムズ、気のせいじゃなければバンドマンたちの写真が載ってたような?
どの角を曲がっても、どの本棚を覗いてもヒル教授が出てくる図書館(この図書館どこにありますか是非行きたいんですが?!って思いながら観てた)。教授に翻弄されて混乱していくマリアンの心象風景ってのは照明やセットからも伝わってきて、「これぞ!!エンターテイメント!!」な時間で楽しめた。「マーーーーーーーーーーーーーーリアンッ♪」って歌がしばらく耳について離れず、帰ってきてからも度々家の中で口ずさんでる(笑)。
マリアンがジャーナルからゲーリー音楽学校のページを破るシーン、本が大好きで司書として働いてすらいるマリアンが何のためらいもなくビリィッとやってて、教授を守るためとはいえあまりの潔さに「えええええ」とびっくりだった。それほど教授(というかウィンスロップが積極的になる可能性)の方が大切だったから、だと思うけど、本好きにとって本を破るって相当抵抗ある行為だと思うので(少なくとも私ならあんな勢いよくビリッって出来ない…できたとしても、後から見て分からないくらい神経使ってゆっっっくりになりそう…)、そんなにも?!!!と強烈に印象に残った。
ミセス・パルーの包容力の大きさと慈愛溢れる空気。ウタコさん(=剣幸さん)には前々から、舞台に出ていらっしゃるだけで太陽が地上を照らすようなまっすぐなあたたかさを感じていて、私はそれが大・大・大好きなので、存分にお陽さま的オーラを発揮していただけるミセス・パルーはぴったり!!!!!!だった。ギラギラ、じゃなくて、ほかほか。月光のように一筋さし込む系の光じゃなくて、日光のようにぱぁぁぁぁと広く降り注ぐような優しい熱量。物語の中でウィンスロップと、(いわゆる母娘〜なやりとりを通してだけど)マリアンがその愛情を惜しみなく受けているのがとっても自然に、ちょっとした言い回し一つ、さりげない目線からも伝わってきて、「誰かが丁寧に慈しまれる様子って、気持ちをとても柔らかくするなぁ。。。」と心地良く、パルー一家の場面では都度「劇場に来てよかった。。。」としみじみしてた。美味しくて栄養のある蜂蜜がじゅわーとトーストに染み込むみたいな満ち足りた感覚。「あぁやっぱりウタコさんの舞台生で観られて良かったぁ。。。!!」と今回も満足。
実は私が観劇した回、私も含めてちょっと前半客席が緊張気味というか戸惑い気味だった感触があって、「ごめん客席がアイオワで…」と自分も含めて勝手に申し訳なく思いかけてた(集中力はめっちゃ高い、静かでありがたい客席だったものの、くつろいで笑う♪みたいな雰囲気よりは、演目の軽やかさに反して固唾を呑んで一挙手一投足を見守る雰囲気のが濃かった/私の感じた範囲では)。どうしようこれ客席と一緒に盛り上がる系の演目だよね、今日どうなる…!!とハラハラしてたところ、最初にその緊張を打ち破ったのがユーラリーのモリクミ(森久美子)さんとヒル教授の坂本さんのやりとり。何が決め手だったかというとおそらく「間の良さ」。どういう間の取り方をするかで一気にその人のお芝居を自分が受け入れられるかどうかが私の場合決まってしまうので、「なるほど、私はモリクミ(森久美子)さんの間の取り方はアリなんだ!!」と嬉しい発見(我ながらびっくりなことに舞台でのお芝居を拝見したのは初だった)。演出家次第で間の微妙な長短はもちろんチューニングされるんだろうけど、結局最後は役者に任されてしまうので、間の良さが自分と合うかどうかに関する発見はとっても重要。
マリアンが教授と橋で会う約束をした後の「ママー!!」の叫びとその後飛び出してくるミセス・パルーが最高だった!!誤解を恐れず書くと、「マリアンとしてやるべきことを一つ一つ着実にこなし、音も外さず美しく歌ってる花乃さん」って印象が続いてたのが、ここで一気に巻き返され惹きこまれて、「花乃さんじゃなくマリアンとして」集中して観られるようになった。私にとっての決め手は何だったんだろうと思い返すと、ここもやっぱり「間の良さ」。それまでモリクミ(森久美子)さんが単発でガスバーナー的に溶かしてた客席も、このシーンからはどっと一気に笑えるようになってた気がする。
婦人協会の皆さんのバランスがめちゃくちゃ良くて、モリクミさん筆頭に登場する度「来たx2!!」とワクワクしてた。いかにも噂好きな、一昔前に主流だった価値観の、善良で誇りある、お母さん市民の方々!!がにじみ出てて、一方で誰一人本当に底意地が悪そうな人はいなくて、そこも観ながら消耗せずに安心して展開を見守れた要因。
男性カルテットもハーモニーがとっても美しくて、他愛もない歌詞ながら毎回とっても寛げた…!!どちらかというと実は元々見るのもやるのも歌よりダンス!!な側で、アカペラの楽しさをこれまであんまり理解できていなかったところ、「あ、これは、ここまで美しく揃って、音が重なり合えたらめちゃくちゃ楽しいだろうな〜〜〜〜!!」と物語の中の4人が羨ましく思えたほど。こりゃぁどこに行くにも連れ立って、即興で歌にしたくなっちゃうだろうなぁ…と納得だった。
これはなんとなく、トラップ一家のような感じ…?と途中感じるほど、子役の方々の出番も活躍もすごかった。華を添えるとかいう次元じゃなく、思いっきり物語の面でも中心となっていて、特にウィンスロップ役は重責…!!!と思うも、見事に立派に演じきっていて、本気の拍手を繰り返してた。3回目のカーテンコールでスタンディングオベーションしたうち、私の中で半分は(事前の予想を超えて)子役さんの立派さと見事さに対して。ちなみに私が観た回のウィンスロップは有澤奏さん。
橋に至る前、教授が呼吸困難なマリアンに向かって「息できる?」「座れる?」と心配そうに覗き込むところの、コミカルとシリアスと格好良さのバランスが絶妙すぎて目眩だった!!良かった今日オペラグラス忘れなくて…!!!!!!と出発前に繰り返し荷物点検した自分を労った。
「最初から俺の正体に気づいてた?」と知った後の教授の表情が、まさに「まるで解せぬ」で、散々あちこちの街で女性を手玉に取ってきた(と言われる)教授、恋はしてこなかったってことですか…それで良くここまで…?!!と衝撃でいっそ爽快だった。
「嘘つき!!」とウィンスロップに涙ながらに言われた時の教授の真摯さと目の熱さが発する、台詞に書かれた以上の気持ちとメッセージの強さに泣いた。毎回あのすごい塊を正面から浴びるのはさぞかし心震える経験だろうな、とか、袖から観られるのも得難い経験だろうな、とまで勝手に想像が広がってしまったほど。
衣装について
教授の海松色(濃いグリーン)のジャケットが!!!!!!!!!!!!誰これ着せたの〜〜〜(衣装の前田文子さんと演出のハロルドさんだよ〜)かっこよすぎでしょ!!!!!!!!!!としばらくジャケット/蝶ネクタイ/坂本さん(Hill教授って言いなよ)だけで見惚れてた。。。あのお衣装での舞台写真の需要凄そう。
蝶ネクタイが嫌味なくキマるって一体どういうスキルなんでしょうか、と真顔で誰かと話したくなるほど、坂本さんx蝶ネクタイがことごとく素敵だった。大人の男性が着ける蝶ネクタイって、特に白黒のフォーマル・クラシックっぽいのではないカラーのとなると、あっという間に面白い系か可愛い系に転んでしまって、「かっこいい」になかなかならないのに、Hill教授〜〜〜!!!!こら〜〜〜!!!!となった。
ハット。カンカン帽大好きなので、わぁーい♪と嬉しかった。が、あれ二階席とか後方席でオペラグラス無しだと鼻から上が影になってしまって、お顔見えづらいんだよね…これはがっつり目のお芝居を全編追いたい勢からするとオペラグラス必携公演だなーとも。一方、口元のお芝居だけでどのくらい伝わるか?!とか、鼻から顎にかけての表情だけで、どのくらい色気が出せるか?!に注目するのも好きなので、ふふふふ、宝塚以外でもこんな機会が来るとは!!!!と心の中で嬉しさにガッツポーズ。
マリアン、全衣装が美しくて夢のようだった。。が、良くも悪くもヒロイン仕様が露骨というか、なんかこう「一人だけ掲載誌が違う漫画キャラ現る」みたいな印象になってしまってて、物語的にも子役女の子チームと婦人会チームの中間的な年齢・立場なんだろうけど、ビジュアル面でめっちゃ孤立してるのが、きっとそういう演出なんだろうなぁ。。。だった。ある種むかしのディズニーとか宝塚並のヒロイン仕様というか。。子供服ならではの(または当時の流行なのかな)「腰の位置低!!!」な子役女の子チームのワンピースとはもちろん違うの判るんだけど、年齢的に成人してる割には婦人会とも切り替え位置が違う感じなのが、、、独身・既婚での違いなのかなぁ(自分の知識が足りなくて分からん…)?ともかくマリアンの衣装、全着とっても素敵で似合ってた!プログラムに掲載されてる、橋のシーンの時の桃色のも素敵だったけど、個人的にお気に入りだったのは、中盤で出てきたブルーグレーと白のもの。
フィナーレで全員がマーチングバンドの制服で現れるの反則すぎた!!!大人もみんなお揃いで可愛いわ素敵だわかっこいいわで、うわぁぁぁぁと一気に照明以上の輝きが眩しかった!!!!!坂本さんの白も抜群に素敵で、皆さんお役と演者の中間的な表情で楽しそうに楽器を携えてらして、貴重な瞬間を見&聴くことができて楽しかった!!!トライアングルを叩きながらにこにこ行進してらっしゃるウタコ(剣幸)さんが超かわいかった〜〜〜〜!!
歌・翻訳・訳詞について
冒頭の列車の中の歌、訳詞の児玉さんも歌い切った演者の皆様も「お疲れ様でした。。。!!!!」ってなるほど歌詞がすごいみっちみち(原詩がそうだから忠実にやると仕方ないのだけど)。。輸入ミュージカルを日本語上演する際あるあるの「一音一語」のせいでオリジナルと違って何度もシンコペーション状態になり、さらに一箇所でも飛ばしたり外したりしようもんなら途端に躓いてしまいそうな構成で本当、、、よく皆様歌い切った、、、!!!と終わった途端労いの意味も込めて拍手してしまったほど。
冒頭の列車の中で終盤に"Hill!!Hill!!"って教授の苗字をみんなが連呼し歌う中、どーしても頭の中で変換がいちいち「蛭」になってしまい、「蛭じゃないって解ってるんだがどうすれば。。。あ、そうか日本で言えば岡部か!!!」と本編に集中するために勝手に教授の苗字をHill=岡=>岡部さんに入れ替えて聞いてた(具体的すぎるイメージが加わるのを避けようとしてか、岡の次は無意識に「田」にはならず「部」になった/笑)。
「私は他の町の人とは違うのよ」、「他の町」=アイオワ以外の人とは違うってこと?あ、「この町の」他の人たちとは違うってことか!!と理解に若干時間がかかった場面があり、「町の他の人」にしなかったのはなんでなんだろうなぁ、原語だとなんて言ってたんだろう。
全編通して結構忙しめの歌が多かった中、忙しそうに聞かせず、それこそ話してるうちになんだか楽しいメロディが着いてきちゃったー♪風になってる坂本さん、ほんと流石だった。歌の凄さ大変さを悟らせず、メロディの楽しさと言葉に込められた意味をどんどん客席に提供する鮮やかさ。
76本のトロンボーンとおやすみ私の誰かさん、が同じメロディなの、プログラムを読まずに挑んだ観劇だったので、月光降り注ぐクライマックス付近で気づいて鳥肌だった!
見事に順不同の箇条書き…誤字脱字は毎度ながらこの後さらに数日かけて自分でパトロール予定です。。
ここまで読んでくださった方、大切なお時間でありがとうございました!!