#1 自粛ファッションって大事かもしれない
もうすぐ一人暮らしをはじめて6年になる。
この言い回しには誰にも分かり得ないこだわりがある。
高校卒業後、静岡県のドが3つつくほどのド田舎から東京の専門学校に進学するため引っ越しをした。
表参道というリッチな立地にひっそりと佇むアットホームな学校に通うことになったが
家の車で引っ越ししやすく帰省しやすいところに家を借りることにしたため、限りなく東京に近いが住所は神奈川県だ。
学生時代も社会人になった今でも「出身どこ?」から始まる会話には99.9%「どこ住んでるの?」という質問がセットで発生する。
それに対し「神奈川です」と答えると
きまって「神奈川のどこ?」と聞かれ最寄を答えると
「いやそれ東京じゃーん(笑)」
と言われることが大概だが、そう言う余裕のある人間は
決まって東京都民だ。
これが都外の人間だった場合はどうだろう
「東京です」なんて言ったら絶対ブッ殺パンチが飛んでくると思う
コイツ都民のフリしてやがる と思われるかもしれない
都会に染まって調子乗ってる と思われるかもしれない
さらにわたしを悩ませるのが"上京"という一見便利なワード。
たしかに学校も職場も東京都だか家は神奈川県だ。わたしは県民だ。
所詮県民のわたしが"上京"を用いて許されるモノなのでしょうか。
(神奈川県をdisってるわけじゃないんだごめん愛してるよ)(土下寝)
"上京"の発するに1秒・記すに2文字である点には非常に魅力を感じる。
これをわざわざ"東京で働きはじめてから"とか"こっちに越してきてから"なんてまわりくどい言い方をすることによって今まで、そしてこれからロスタイムが一生を通してどれだけ発生するのだろう。残業代をつけてほしい。
わかる。そんなこと気にしているわたしの身の回りの人間は1割にも満たないことくらい。
ごく少数派の人間のために犠牲にした3秒でチョコレート1個食べられるなあ…
なんて思うけれど"上京"に対しつっかかってくる人間が0ではない(かもしれない)限り
わたしはショートカットを避けてどれだけ遠回りであろうと安全な大通りを選択して歩いている。
えっと…なにが言いたかったんだっけな
そう、そんな限りなく東京に近い神奈川の家から引っ越したいと思っている。
学生の頃は心配性な両親が家賃を払ってくれていて、セキュリティーが万全の家に住まわせてくれた。
その家に社会人になった今でも丸4年住んでしまっている。
この間3度目の更新がやってきて思った。
家賃。
今の家賃から2万引いたって十分な生活はできる。
1万違うだけでも年間で考えると貯金額が12万違うのかと思ったら引っ越そうと思った。
正直今の家が快適で土地柄も気に入っているのだけれど。
そんなことを思ったのが3、4ヶ月前だったかな。
通勤電車で本を読む時間をちょぴっと削っておうち探しのサイトに指を滑らせ、家では断捨離も始めた。
6年も居着いてしまうともうモノで溢れかえっていて
毎週大量のゴミを出しているのに
毎週毎週どこからともなく湧いてくる
一向に落ち着く気配はない。
服飾学生の頃いろんなジャンルを開拓したが趣味が変わってもう着なくなった服たちは友達や後輩にあげたり段ボールに詰めて寄付した。
去年の夏ウォーターサーバーを導入して以来使わなくなってしまったケトルは4月から一人暮らしを始める弟に送った。
せいぜい3合しか炊いたことのない5合炊きの炊飯器は実家の窯がガビンガビンに剥がれた炊飯器と交換してうちのは3合炊きの小さいのに買い換えた。
他にもさっきどっかで相方を見かけたような気がしないでもないがなくなっても困んないからいいやってなった靴下の片方とか
中学生の頃買ったけどもう部屋のテイストにあってないクッションとか
とにかく諸々捨てた。
この土日ほんとうなら仕事で家にいないハズだったのだが
コロナ
奴のせいで仕事場が封鎖されてしまいステイを食らったので
せっかくの良い機会だと徹夜で断捨離をすすめている次第。
どうぶつの森のBGMを流しながら(おいでよのやつ)
みんなやってるし楽しそうだからわたしもSwitch買おうかなとか
DSでやってたやつアレわたしローン完済したんだっけとか
もしかしたら完済しないままチョロっとWiiに手出してフェードアウトしてったんだっけかとか
買ったところでほんとにやるんだろうかとか
村だったあの頃から島に規模を拡大してしまったこのご時世自由が利きすぎるが故に難しくなっておもしろくないのではなんて捻くれた考えが生まれてしまったところで買うのはとりあえずやめておこうと思った。
そういや読んでない本まだいっぱい積んでるんだったな。
本日も早朝から45Lのゴミ袋3つ分とスーパーのビニール5つ分余裕で捨てることになった。
ゴミ袋が部屋を占領し始めたため外のゴミ倉庫に捨てに行こうにもなんとなく罪の意識が生まれる。
部屋からゴミ倉庫までドアtoドアで2メートル。
たかが2メートル。されど2メートル。
絶対に出るなと言われたわけではないがなんとなく気が引ける。
そしてなにより人に会いたくない
会ってはいけない
こんな格好をしているからな。
チェックのフリースパジャマに蛍光グリーンの横縞スパッツ、さらにノルディックのちゃんちゃんこを着ている。
こんな格好で人に会ってしまうわけにはいかない。
が着替える気もさらさらない。
だいぶしぶったがどうにもこうにもこれからまだ続く断捨離の中でこのゴミたちは邪魔にしかならない。効率を考えたら一度捨てに行くが正しいに決まっている。
部屋の前から3往復は必要だろう…
みんな自粛してるから外にでてこないハズ(過信)
意を決してゴミを抱えエントランスを抜けいざ!
雪!
HPがヤバイ状態で野生のポケモンに出会わないように草むらを避け慎重に歩いていたのに物陰から突然ライバル出てきたときのズルい展開くらい突然の敵だった。
想定よりも少々手数ってしまった……
しかし誰にも合わずにゴミを捨てることができた。
ミッションクリアだ!
一息ついて さて、どこから再開しようかななんて思ったところから記憶が飛んだ
突然の睡魔に襲われ記憶が戻ったのはインターホンのピンポーンが部屋に鳴り響いたその瞬間だった。
定期便で日曜の午前に届くことになっていたウォーターサーバーのお水が来てしまった。
…人に会ってしまった
チェックのフリースパジャマに蛍光グリーンの横縞スパッツ、ノルディックのちゃんちゃんこで。
アホ丸出しじゃないか…
みんな家の中にとどまっている季節外れの雪の中重たいサーバーのお水を届けてくれたおじさんに申し訳なくなった。こんな格好でごめん。
もう少しかわいく自粛する必要があるみたいだ
スマホを開けば明日は仕事再開の通知。
だろうな。
(未完)