ichi。
『彼』を好きな『私』と、『私』を好きな『彼女』のお話。
生きることを辞めずにいてくれているまだ見ぬ貴方と、 友達になりたい一心で綴る、初々しい新入学死日記。
しばらく前に 私の軸を織り成す存在の一つが 忽然と姿を消した 好意を伝えていたのに 敬意に近く その背中に答えを探していた 未だ ブリーチーズを食べる女の笑みが 脳にこびりついたままだ あなたが本当に 果物ナイフを携えた 露出狂だったのかはさておき それでも私は 言葉越しにあなたという存在に 高揚し惚れていた 孤独に嫉妬や怠惰を語る私も ある意味では露出狂なのかも知れず 一線を越えるか否かという瀬戸際で 結末を探るあなたが遂に消え 餌を貰えな
好まれ方も嫌われ方も分かるなら 気になる素敵な人への近づき方も 関わる度に疲弊する人の離れ方も 用途に合わせた言葉で測ればいい
恋愛感情を持たれない 自分である必要がない 他所者の距離感で漸く 素直に愛を伝えられる
想像の種は悩みの種
綺麗に整えた現実味が欲しいだけ 綺麗事も愚痴も噂も聞き飽きたよ
デザインされた言葉は美しいが もっと形にならない叫びをくれ
綺麗事って醜いものか? そう思う感情の裏返し?
ただ微温いだけの優しさを無碍にされ 背筋を正したい時もたまにはあります
2万円でこの先世に 出回らない画集を一冊買うか 1泊2日の電車旅で個展2ヶ所と 懐かしい友の所へ会いに行くか いつかのためじゃなくて こういう時に使うために 貯めているお金なんだから 惜しまず使いたいな
悲しみや苦しみに正面から向き合えず 乗り越える術を知らずに年を食うだけ
金にならないから続けられること 金にもならないから捨てたいこと 金がないと生きていけないけれど 金で推し量る脳の働きが嫌いです
守る対象が多い者への優しさからは 感謝と同等かそれ以上の警戒が増し 断る行為の負荷まで背負った結末は 心の糸が切れて抜け殻の様になって 生きる程無駄にした時間に嬲られる
剥がれ落ちた装飾の代替と 欠損した身体に施す義肢が違うのは明白
夢中で積み上げた私の意思は、彼の吐く風一つで 容易に崩れてしまう様な物なのかも知れない。時々そう思う。 事の大小と、その均衡。 とうに私の背を超えるほどに高く積み上げる彼。 手伝うことさえ出来ない悔しさで、 地盤そのものがひどく脆いから、 いくら大きな意志を抱えても 不安定なことに変わりはなかった。 その辺の小石にさえ価値を見出し、 沈めずどこまでも届ける彼に、 到底追いつける気がしない。 いっそ氾濫してしまえよ。 誰も歩けず息もつかせぬほどに、広く、深く。 私は、彼に
故障気味で何度もエラーを提示する洗濯機。世話を焼いたが、到頭うんともすんとも言わない。酒も煙草もやめて貯金が楽しくなってきた途端にこれだ、一人旅を企てていたところだったのに。中古なら少しは安く買えるだろうけれど、中古家具で揃えた築三十年超えの賃貸の狭い一部屋は、大して長く住んでいないのに何処となくセピア色をしている。まるで自分自身も使い古しの様だ。 地図アプリで調べると、コインランドリーは自転車で二十分。熱帯夜を往復することを考えて、萎えた身体を冷や汗が伝っていく。衛生観念
しんとした街の古い喫茶店にある、夏の終わりのクリームソーダ。宇宙の色をしたその天辺の、赤い実ひとつ摘んで、彼は命を喰べる様に口に運び、柔く、しかし確かな重みのある声で呟いた。 「僕にとってのガラスの靴は、粉々に散り触れないほど尖り、夏めく光に乱反射する度に痛い」 骨が泡になり弾けていく景色、甘く温かい乳白色の記憶。掻き混ぜ溶け合い実のない液体を一口。からんからんとドアベルが鳴り、見渡す彼女に彼は手招く。これは秋霖を紛らす軽い思い出話だ。 堆い入道雲に向かい歩く。風に草木