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"実地検分"、未だ成らず
ーヒメジョオンとハルジオン
身近によく見かける草花、ヒメジョオンとハルジオン。見かけがとてもよく似ていて、一般には見分けることが難しい。茎を折ると一目瞭然らしいが、ハルジオンには「折ったり摘んだりすると貧乏になる」との伝えがある。だから、そのやり方を実践するにはいささかためらいも。そこで、さらに調べてみると、別にもっと良い方法があることが分かった。ただ、残念なことに、依然それを試していない。忘れないうちに"実地検分"したい。
「似て非なる草花」シリーズ:「りすの独り言」「似て非なる草花」「ドライアイには難しい」「目を見張る昇進」「伝承に及び腰」
「一番分かる」方法
あるリゾート地の宿泊施設のホームページによると、葉っぱの付き方で見分ける方法が「一番分かる」という。ヒメジョオンはまっすぐ付く(写真上)のに対し、ハルジオンは葉が茎を抱くようにして付くらしい(同下)。
確かに写真を見る限り、ヒメジョオンとハルジオンの違いが分かりやすい。喜び勇んで実地検分に出向く。道中、このやり方で確証が得られなかった場合、貧乏になっても構わない覚悟で、茎を折って確かめようと決心。
興味の向いた先
やがて空き地に目的の花を見つける。ところが、このとき、別のものに興味を奪われた。周囲に張られた「立ち入り禁止」と赤字で書かれた黄色のテープ。刑事ドラマの殺人現場さながらの雰囲気だ。気になって仕方がない。
過去に「心理的瑕疵物件」が建っていた土地だろうか。スマートフォンを取り出し、おざなりに目的の花の写真を収めるや否や、大島てるの「事故物件公示サイト」を開く。そうした類の場所として登録されていないようだ。
ただ、周辺に該当する物件がわずかに見つかる。この場所は住んでいるところから決して近いとは言えないが、十分に歩いてこれる距離で、それほど遠くもない。そのため、ますます興味が膨らみ、引き寄せられるように足がそちらの方向に向く。実地検分を置き去りにしたままで。
結局、ヒメジョオンとハルジオンの見分け方を実証せずに帰宅。インターネットで調べると、立ち入り禁止のテープはアマゾンなどを通じて誰でも購入できると知る。悔しさ混じりに、一連の出来事について奥さんに話す。ただ奥さんは「そうなんだ」と興味なさげの素気無い反応。
言い知れぬ孤独感が押し寄せた。
(写真〈上から順に〉:よく見る草花が咲く空き地に張られた立ち入り禁止のビニールテープ=りす、茎に対してまっすぐ葉っぱが付くヒメジョオン=草津スカイランドホテル、葉っぱが茎を抱くように付くハルジオン=同、「火」のマークで事故物件の所在を示す大島てるの「事故物件公示サイト」=大島てるの「事故物件公示サイト」の素材を基にりす作成)
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