今日は記念日
ウラギリの母
「平凡な一日を送るのはとても難しいことなのよ」ー。幼い頃、実母に笑いながら諭されたことをふと思い出した。親の心配をよそに、特別な日が毎日続く人生を送りたいとでも言ったのだろうか。言葉の意味が分からないまま、そのこと自体も忘れていたが、今になってようやく思い出し、その意味を理解できた気がする。事に軽重こそあるが、日々、公私ともに必ず何かしら起こる。だから、1日たりとも平凡な日はない。母はきっとそういうことを言いたかったんだろう。
そんな理解をよそに、ツイッターなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では、わざわざ語呂合わせまでして特別な日を仕立てようとする風潮がある。3月10日は「ミントの日」、3月9日は「サンキューの日」、3月4日は「ミシンの日」など。もう毎日が押し着せの記念日だ。
2月は29日が「キン肉マンの日」、23日は「富士山の日」、そして、ひときわ存在感を発揮しているのが22日。"にゃんにゃん"で「猫の日」とか。すでに語呂合わせなのかも怪しく、思わずため息が出る。その様子に吹いた奥さん。いろんな意味を込めて一言:「余裕ないねえ」。
まさかの追撃
その言葉にはちょっと凹む。母が追い討ちをかけた。ご機嫌伺いを兼ね、久しぶりに母に電話した。かつて母が言った平凡な日のありがたさの意味がようやく分かったと告げると、母が笑いながら発した言葉はあろうことか、「そんなこと、言ったかしら?」。
うん、個人的に今日を「母に裏切られた記念日」にしよう。
略して「ウラハハの日」だ。
(写真〈上から順に〉:母に笑いながら諭された記憶〈イメージ〉、3月10日は「ミントの日」=Gigazine)
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