アディオス、クソ野郎
ー思い出詰まった義父の別宅
炎天下での草むしり、エアコンがない部屋での掃除・片付けは過酷だ。たとえ成し遂げた後に大きな達成感を得られても、それだけで次回も頑張ろうとは思えない。労働にふさわしいご褒美が必要だ。ここは静岡県伊東市にある義父の別宅。海に近く新鮮な地魚が楽しめるロケーション。日中、草むしりに掃除にと、八面六臂に奮闘したわれわれ夫婦のご褒美として、夕飯に寿司を食べに行くことに。そこでまさか不快な目に遭うなど夢にも思わない。
急転直下
「やったー!」ー。シャワーで汗を流した後、草むしり、部屋掃除・片付けを頑張ったご褒美に寿司屋に行こうと奥さんに提案すると、奥さんは諸手を挙げて喜んだ。義父の別宅の周りには、地元でチェーン展開する回転寿司屋がたくさんあり、中でも美味しいとされる店にワクワクしながら飛び込む。
ところが、この店の対応がすこぶる不快。ラストオーダーまで30分以上あるのに、カウンターの職人の一人は片付けを優先し、注文に返事すらしない。オーダーしても、レーンに出て時間が経っている皿を取り出して手渡してくることも。これではわざわざ注文する意味がない。実に不愉快。
そういや、数年前、義母、奥さんと一緒にこの店を訪れたとき、若い職人が店を訪れた若い女性客に話しかけるのに必死で、こちらの注文をないがしろにしたことがあったっけ。現在と過去の不快な感情が溶け合い、いよいよ気分はだだ下がり。さっさと店を出ることに。滞在時間はわずか15分。
「アディオス、クソ野郎。二度と来ねえ!」
ツキなし
われわれ夫婦とほぼ同じタイミングで隣の席に着いた若いカップルも不満を募らせていた様子。女性が「もう店を出よう」と幾度も男性にヒソヒソ話しかけていた。その後、奥さんの次に会計に並んでいた事実は、この店の当時の雰囲気がどんなものだったかを物語っている。きっと良い職人がこの店の評判を上げる一方で、そうではない職人が評判を下げているのだろう。
われわれ夫婦も、この若いカップルも今回はついてない。