殲滅戦
ーりすの独り言
どこに行っても蚊に刺される。いよいよ追い込まれた感があるわが夫婦。これ以上、蚊を好き放題にさせてなるものかと、一致団結して"敵"の駆逐に乗り出す。その瞬間は、あっという間に訪れた。奥さんが、血を吸おうと足に止まった蚊に渾身の平手打ち。圧殺された敵と、吸っていた血しぶきが足にこびりついていた。積年の恨みを晴らしたかのような鬼気迫る笑顔の奥さんがホラーだ。ただ、事態はこれで収束しない。
大きな誤り
潰された蚊とこびりついた血をティッシュできれいに拭き取りながら、これで今晩は安心して眠れると顔を見合わせて喜んだわが夫婦。ところが、それから間もなく、今度はこちらが太ももに取り付いて血を吸っていた"敵"を圧殺。さらに、フラフラと飛んでいた別の蚊を握りつぶした。
この事態に揃って戦慄した。これまで安眠を妨げていたのは、寝室に隠れている一匹だと思っていたが、それは大きな誤りで、複数の蚊が寝室内に潜んでいることが分かったからだ。再び走る緊張感。蚊の発見から4日目の夜。この日も不快な羽音に起こされ、夫婦ともに複数箇所を刺された。
侵入経路
侵入経路はどこかー。これがさっぱり分からない。ただ、出入りがあるのは玄関とベランダ。「扉を開けようとすると、それを待ち構えている蚊もいる」と、奥さんは眦を吊り上げる。出入りにはこれまで以上に気を付けるよう申し合わせ、徹底的に殲滅戦を繰り広げる思いを互いに確かめた。
「駆逐してやる。一匹残らず」ー。戦いは終わらない。
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