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「えいっ」と念じてじわじわと魔法使いになるための妄想

よく妄想することがあります。

小さい頃の夢は「いい魔法使い」だった私。

シンデレラを見れば圧倒的にカボチャの馬車を生み出す側にいきたかったし、魔女の宅急便のキキのささやかな魔法のある日常に猛烈に憧れていました。

将来の夢をきかれて「お花屋さん」とか「保母さん」とか「お嫁さん」とか言う子の気持ちが全く理解できなくて、でも本当の夢を言うには他に同じ人がいなくて恥ずかしい、と思う幼少期を過ごしました。

そして、「私は魔法が使える」と信じ込んで、今でも魔法を使う自分について妄想をすることがあります。

魔法が使える状態っていうのはどういうものか?

幼い時分にも、私はずっと考えていました。

まず呪文がいるなと思いました。
そこで母に「何か呪文っぽい言葉を教えてほしい」と頼みました。幼稚園に通っていた頃くらいの出来事だったと思います。

昔ケニア旅行に行ったことのある母は、スワヒリ語で呪文をつくってくれました。

「マライカマライカ ナミニファネンジェ キジャナムエンジオン」

今でも覚えています。言葉の並びがとても新鮮で、まさに呪文のようで、とても気に入りました。私は何かにつけてこの言葉を心の中で唱えるようになりました。

このnoteを書こうとしてカタカナで検索してみたところ、数十年の時を経て、これがスワヒリ語圏で有名な歌の歌詞だったことを知りました。
お金のない男性が好きな女性を天使に喩えて呼びかける内容だそうです。

こちらが該当部分。

Malaika,Malaika,
マライカマライカ
(天使よ、天使よ)
Nami nifanyeje, kijana mwenzio
ナミ ニファニェジェ キジャナ ムウェンズィオ
(いったいどうしたらいいんだろう 僕はあなたと同じでまだ若いというのに)

知らなかった!マライカって天使って意味だったのか。しかも私けっこうちゃんと呪文暗記していました。

そんなことはさておき、魔法使いになろう計画。
魔法使いといえば、植物の効能をよく知り、いくつかの植物をすりつぶしたりなどして、煮詰めて不思議な薬をつくり出すイメージがありました。

家には手のひらサイズの英語でまとめられたきのこと植物の図鑑がありました。これは何やらそれっぽいではないですか。さらに小さいメモを入れる用の封筒をたくさんもらったので、その本を見ながら、封筒にそれっぽい薬の名前と効能をメモしていき、その袋に魔法の粉が入っていることを想像しました。これをしていたのが確か小1くらいのこと。
何かにつけて、この症状に効くのはこの薬だったはず、とか封筒を見つめながらわくわく考えていました。
1人でずっと何をやってるんだろうと母は思っていたことでしょう。

そして、極め付けが「えいっ」でした。

「えいっ」というのは小学校の教科書に出てきた物語。

これは端的にいうとお父さんから魔法の使い方を学ぶ子どもの物語。
父親くまさんが息子くまくんにお父さんは魔法が使えるんだよーと言って、「えいっ」と唱えて信号を青にしたりする様子を見せます。
すると、息子くまくんがいいな!僕も魔法使えるようになりたい!と思って試行錯誤。最後には息子くまくんが魔法の仕組みを理解して、「えいっ」を使いこなせるようになっていくのですが、この話が私には革命的でした。

これなら私にもできる!

つまり、父親くまさんの魔法のからくりは、信号が青になるタイミングを見計らって「えいっ」と唱えるということだったわけですが、確かにこれも魔法かもしれない、と思ったのです。

そこから私の秘密の「えいっ」詠唱修行が始まりました。

青、黄色、赤、と車用の信号が移り変わるたびに「えいっ」

いよいよ歩行者用信号が青になる瞬間に「えいっ」

その他にもエレベーターが開く瞬間に「えいっ」

ピンポンを押して相手が出そうな瞬間に「えいっ」

練習を重ねることで少しずつ魔法の真似事ができるようになってきた実感がありました。

魔法って超自然的なことだけを指すのではなくて、魔法のような不思議な出来事にもそう名付けていいんじゃないか、だったらいろいろな場面でこれは魔法だと妄想することで、私は魔法使いになれる可能性を秘めていると希望が持てました。

今はさすがに信号が変わるたびに「えいっ」とはしていないですが、「魔法みたいな」ことで周りをハッピーにできたらいいなという想いはより強まっています。

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