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繋ぐ。50周年の、ドラえもん。

【注:この記事は2020年5月執筆の再掲です】

コロナ・ショック、春休み恒例の「ドラえもん映画」が夏まで公開延期になるという初めての事態。

プライム・ビデオで旧作含め配信されているのを機に、子どもたちと毎日(!)ドラえもんづけになるという日々を過ごしました。

我が家の3人は皆、2005年のリニューアル後に生まれているので、水田わさびさんバージョンの”新ドラえもん”ネイティブです。

オリジナル「のび太の恐竜」(1980)公開時に3歳くらいだった”のぶ代ネイティブ”の私も、リニューアル直後のリメイク作品「のび太の恐竜」(2006)「鉄人兵団」「日本誕生」など、子ども達と一緒に楽しんできました。

それでも常々、心のどこかに「やっぱオリジナル版にはかなわないよな~」という思い込みが。

この機に子どもたちに、のぶ代時代の映画を体感してもらおう…!!と、my bestsの「海底奇岩城」「パラレル西遊記」「龍の騎士」などを一緒に再鑑賞しました。

そこで、分かったこと。

技術の優劣ではなく、その時代リアルタイムで、子ども達に伝えたい"メッセージ”が、ドラえもん映画にはあったこと。

たとえば90年代半ばの作品群を見直すと、(やや過剰なくらいに)環境問題への意識提起がされています。

地底人、天上人、海底人全てから「人間のせいでこんな汚れた地球に・・・!」「人間が悪いんだ・・・!!」と、むき出しの憎悪を投げつけられ、のび太達がハッと胸を突かれる展開に、子ども達はとまどいを感じたようです。

子どもであっても反逆者として、裁判にかけられてしまうシーンや、仲間となったキャラクター(生身の人間ではないが)が身を犠牲にする展開とか、藤子作品の持つある種の冷徹さやドライさも、現在の感覚からすると、かなりきっぱりとあからさまに描かれています。

思えば成長してからも、世の中のしくみ、自然科学的なことに興味を持った最初のきっかけは「ドラえもん」だったなぁ~、と感じることがありました。それらは私を含め、当時の子どもたちに、きちんと重さを持って伝わっていたんですよね。

リニューアル後の作品を見ると、強調されるのは「友情」、社会や世界の構造がどうとかよりも、仲間との絆や感情的な要素がメインになっていると感じます。

失われつつあるものだからこそ意識提起をするんだとすれば、的確に現在のソーシャルな問題を映していると思います。

時代背景、メッセージにそこまでの隔たりを持ちつつ、作品世界が同じ構造、設定で繋がっているのが本当に凄い。

リニューアル直後は、いろいろな批判もありました。

ポップになりすぎた主題歌はそれまでのイメージと良くも悪くもかけはなれてて、私自身、憤慨していたように記憶しているし、それまでにあった色んな作品のリメイク同様、「安易にリニューアルすればいいってもんじゃない」「きっとうまくいかない」みたいな空気がかなりあったように思います。

あらためてその時期の作品を見返すと、すんごい迷走もしてる。

作画や、テーマ、世界観、「22世紀」が遠い憧れでなはなく「けっこう想像できる世界」になったタイミングで、ドラえもん達が、一体、どんな存在として子ども達の前に現れるべきなのか?

いろんな実験をされていたんだと思います。

体感としては、リニューアル版「鉄人兵団」がきっかけになった感じ。

旧作の良いところを素直にフィーチャーして、オリジナル版と同じ濃さに「今」ならではの繊細さをプラスして、「ドラえもん」らしいのにすごく新しい、名作を作り上げた。

オリジナルは私にとって本当に大切で大好きな作品だったけど、リニューアル版を見た子供達が、きっと当時の私と同じ質と量の感動をもらえたと、確信できるのです。

昔、パパやママが見てたアニメだよね、じゃなくて、「今」の子どもたちが私達と同じ熱でドラえもんに夢中になれてるのって、本当に本当に、すごいことだと思う。

この子たちが大人になるまで、まだまだ、何年も、同じワクワクを抱えたまま「ドラえもん」を一緒に追い続けていけるのが、とても嬉しくて。

かなり暑苦しい文章になってしまいましたが。

この2020年、奇しくも50周年、2作品の公開が予定されていて。コロナ・ショックがあって、先が見えなくなって。

そんなこともきっとどこかで、繋がっている気がする。

経験したことのない「今」に途方にくれる子どもにとって、そして大人たちにとっても、この危機を経験した後、スクリーンに映し出されるのび太達の物語は、きっとまた、"出会えてよかった”と、新たな感動を与えてくれるんだと思います。

8月を楽しみに!

【注:2020年5月記事再掲】

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