長田莉々/Osada Riri

図書館員&ライター/書評(小学館P+Dマガジン掲載)/絵本&読み聞かせ記事(おもちゃサブスク「トイサブ!」コミュニティ掲載)/3人子育て中/書評&映画評ZINE「ホイップ(Whipped)」発行/映画&海外ドラマ/ヴィルヌーブ好き/ゴールデンカムイ/詳細プロフページをご覧下さい

長田莉々/Osada Riri

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  • 日々、本に埋もれて救われて/読書ログ

    公私問わず、常に数冊を並行読みする日々です。読後のレビュー、作者さんへの想い、追いつきませんができるだけUPしていきます

  • 【読み聞かせ・子育て】おすすめ絵本のご紹介

    3人子育て(2女1男)&図書館スタッフとしての日々で出会ってきた絵本、思い出の作品、おすすめ読み聞かせ本を随時アップしていきます。好みが偏ることもありますが、ふと違ったジャンルの絵本を読みたくなったときや選び方に迷ったときなど、参考にしていただけると嬉しいです!

  • 伝統芸能&絵画&Life of Arts 日々を彩るものごと

    学生時代は西洋美術史を専攻。最近やっとまた美術館へ足を運ぶ時間がとれるようになってきました。伝統芸能「文楽」も大好きで国立劇場に通っています。コロナ禍でいずれも打撃をうけていらっしゃる中、自分へのインプット以上に、少しでも応援の気持ちをこめて、沢山の事を教えてくれるアートにより多く触れていきたいです。観劇記などをログ的に更新します。

  • 書評&映画評マガジン「Whipped」(ホイップ)

    ホイップ本紙からのおすすめ記事やコーナーを抜粋&ご紹介します。

  • 誰かの、大切な思い出になるために。/映画&ドラマレビュー

    1本の映画が、まるきり世界を変えてしまうこともある。価値観を変えるような、それでいて穏やかに日々の愛に気づかせてくれるような、映画を観たい。語りたい。クラシックな定番作から新作、ネトフリまで、コンテンツレビューをまとめています。

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本と本に関わる人の想いの全て/密やかで凛とした情熱『ミュゲ書房』(伊藤調)

書架にある本との出会いは、文字通り出会いだと思う。ソフトカバーの手に馴染む柔らかな風合いに、落ち着いた、そしてセンスの溢れる色彩が愛おしいほどに溢れる装丁。手に取った瞬間、幼い頃、エンデの『果てしない物語』を手にした時の高揚感を思い出していた私は、作中、主人公がまさにその作品に言及するのを読んだ途端、心の中で快哉を叫んだ。これは、出会い。北は北海道、A市というとある街に位置する、本と本を愛する人達の凜とした思いがかたちとなったような場所、「ミュゲ書房」の物語との。 作者であ

    • 「はじまり」はいつも切なく、暖かい【出会いと別れの季節に:春におすすめの絵本3選】

      ①『こねこのビスケット』野中 柊 作・網中いづる 絵/ポプラ社 夏に生まれた、こねこのビスケット。元気いっぱい小麦色、ちょっぴり、いたずら好き。目に見える全てが、“はじめて”で溢れている。そんなビスケットの日常が、柔らかく耳元で囁くように、さえずるように響く詩情豊かな野中柊さんのことばと、抱きしめたくなるほど愛らしい、網中いづるさんの挿絵で綴られていきます。 初めて赤ちゃんを授かり、嬉しいながらも精一杯だった日々、気になるのは「もう何ヶ月」「寝返りうてるようになった」「は

      • 寄る辺ない魂が寄り添い、愛を知る時/『えのないえほん』斉藤倫(作)・植田真(絵)

        「だいすきな けものさん」 「あさやけや くもや もりや いずみや わたしの しらない たくさんの うつくしい ものを おしえてくれる あなたも きっと とても うつくしいのね」 誰かと比べられることで、自分では変えることのできない「何か」(環境、人の心、そして、容姿)によって、傷ついたことのない人は、たぶん、いない。そんなときどうするだろう? 自分より劣るもの、自分より恵まれないもの、自分より”みにくい”もの。それらを引きずり出し、目にし、嘲ることで、安心と安寧を得る。

        • かけがえのない『はじめて』の全て/長女と想い出の絵本【1】

          この春進学し、もう私の後をついて回った“子ども時代"からは確実に卒業していく長女。初めての出産、育児…思えば、「一番手を掛けた」「一番大変だった、不安だった」“はじめて”の全ての主語は、親である私ばかりで、彼女の本当の気持ちに寄り添えていたかどうか、空回りしてばかりだったかな……と、反省もしきり。それでも、「初めて」は本当に特別で、いとおしく、言葉にすることの出来ないほどにかけがえのない時間です。長女と一緒に手に取って、擦りきれるまで一緒にいた絵本達、いつか二人で思い出せるよ

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          ビロードのようなその体に触れさせて/虜になる『猫の絵本』おすすめ4選

          猫。今更言挙の必要もなく、多くの人々にとって生活の一部ともなる大切なパートナーであり、「人と動物」の枠を超えてなんだか哲学的なことを、ふと問いかけてくれる存在でもあります。無類の動物好きの私ですが、様々事情がありまして猫さんだけは共に暮らしたことがなく、日に日に募る想いから、お薦めの『猫の絵本』をご紹介させていただきます。猫好きさんもそうで無い方にも、心に響く1冊があればとても嬉しいです! ①『ちいさなねこ』石井桃子 作・横内 襄 絵/福音館書店 ある日おうちを飛び出して

          ビロードのようなその体に触れさせて/虜になる『猫の絵本』おすすめ4選

          『菅原伝習手習鑑』(すがわらでんじゅてならいかがみ)/伝統芸能こそ、エンタテインメントのプロフェッショナル

          江戸の芝居熱、市井の人々の息吹を今に伝えるのが、人形浄瑠璃「文楽」を含め伝統芸能なのだと思っています。むしろ、それが現代の私たちにも真っ直ぐに通じる部分があるからこそ、作品への感動や興味が後を絶たないのだと。 2月・東京国立劇場での新春公演、三部構構成の第2部として、大作「菅原伝習手習鑑」(すがわらでんしゅてならいかがみ)が上演されています。菅原道真のエピソードは、いわゆる“判官贔屓”ものの一つとして根強い人気があり、世をまたいで様々な逸話が語られ、物語の題材となってきまし

          『菅原伝習手習鑑』(すがわらでんじゅてならいかがみ)/伝統芸能こそ、エンタテインメントのプロフェッショナル

          一瞬を永遠に繋ぎ止める『ラヴァーズ・キス』/吉田秋生 ほか忘れられない少女漫画のご紹介

          自分が目にすることの出来る世界も経験できることも当然ながら限りがある。物語はそれを補完し、生をより豊かにしてくれるもの。15歳くらいまでマンガ家に憧れ、せっせと描いていた私。だからか、小説も映画も比べようもなく好きですが、やはり漫画、それも当時読んでいた少女マンガ作品には格別の思い入れがあります。時を経ても色褪せない輝きを放つ、そんな珠玉の作品をご紹介します。 ①『ラヴァーズ・キス』/吉田秋生(小学館フラワーコミックス) 異色のハードボイルド長編『BANANA FISH』

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          【中田いくみ関連作品】叙情といとしさ溢れる挿絵が伝える、子どもの「ほんとのきもち」

          『やましたくんはしゃべらない』をきっかけに、中田いくみ先生の描くこどもたちに出会いました。物語に寄り添い、いつしか彼らと同じ視線で「あのころ」の自分を思い出したり、親としての思いを新たにさせてくれた、あたたかさに満ちた3作品をご紹介します。 ①『やましたくんはしゃべらない』山下賢二・作/中田いくみ・絵(岩崎書店)『やましたくんはしゃべらない』。目を惹くタイトルと、なんとも言えない表情でこちらを見つめる表紙の男の子に、引き寄せられるように手にした作品。 私も、小学校時代、う

          【中田いくみ関連作品】叙情といとしさ溢れる挿絵が伝える、子どもの「ほんとのきもち」

          繋がり、重なることへの渇望/宇佐見りん『推し、燃ゆ』を読む

          第164回芥川賞を受賞した本作。まさにトレンドの真っ只中の作品を直ぐに手に取ってみた。21歳の作者の目を通して描かれる、高校生の日常。年代的にも環境的にも、今の自分から最も遠い視点という前提で読み進む。会話のテンポやコミュニケーションの在り方、使用される言葉もどこか私の”日常"とは異なる筈の主人公の語る言葉、その肌感覚は、「わかものたち」の物語ではなくて、その倍の歳月を経て親ですらある”私”の世界をいとも簡単に”10代だけに見える世界”に引きずり戻した。 世間や社会というも

          繋がり、重なることへの渇望/宇佐見りん『推し、燃ゆ』を読む

          女の子と賢さ、冒険と愛の話/『梨の子ペリーナ』イタリアのむかしばなし

          酒井駒子さんの挿画が印象的で、発売とともに話題となっている『梨の子ペリーナ』イタリア語翻訳家の関口英子氏が、イタリアを代表する作家であり、全土をめぐって『イタリア民話集』を著したイタロ・カルヴィーノの再話から選び訳された物語です。 イタリア北部に位置する豊かな丘陵地帯につたわる昔話には、梨をはじめ、ブドウやりんごなどの果樹栽培が盛んだということ。中でも、このお話のモチーフとなっている「梨」は特産品であり、さまざまな調理法で古くから人々の食生活に欠かせないものだったそう。『ペ

          女の子と賢さ、冒険と愛の話/『梨の子ペリーナ』イタリアのむかしばなし

          忘れられていく死と、遺り続ける痛みについて/「かないくん」(谷川俊太郎・松本大洋)

          「きょう、となりのかないくんがいない。」 からりと乾いてはおらず、どこか湿り気を感じさせる冬の空気。色や音がそぎ落とされた挿絵とともに、こんな言葉から物語は始まります。 クラスメイト。『親友』でもなく、かないくんは、ふつうのともだち。でも、もう一週間も休んでる――そしてある日、先生が告げる。 「かないくんがなくなりました」 みんでお葬式に行ったこと。かないくんが作った恐竜も、描いた絵も、まだ教室にある。でも、かないくんはもう、いない。泣いていた友人たちも、普通の暮らし

          忘れられていく死と、遺り続ける痛みについて/「かないくん」(谷川俊太郎・松本大洋)

          息子と一緒に、おもいでの列車の旅へ

          『息子のリアル読み聞かせチャレンジ①~④』として約1ヶ月半に渡りコラム連載してきました。その後も、母子の眠る前の楽しい時間として定着し、息子ばかりじゃなく、児童館としての図書館につとめる私自身の新たな発見を日々くれる時間が本当に愛おしいです。男の子の大好き絵本といえば、はずせない「電車・のりもの」。今日はそんなテーマで手にした大切な2冊をご紹介させてください。 ①『えのでん タンコロ』倉部 今日子:作/偕成社主人公であるふたり「しょうちゃん」としょうちゃんの「おじいちゃん」

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          映画のミカタvol.3/熱き魂の叫び!映画好きおすすめ、必見の名作アクション。

          「映画のミカタ/vol.3」で“アクション映画のお手本のような作品"とご紹介した『マッドマックス 怒りのデスロード』。魂の叫び…そんな言葉がぴったりな、心が熱くなる新旧おすすめ作をまとめてご紹介します! ①『HEAT/ヒート』(1995年:アメリカ) デ・ニーロとパチーノ、2大俳優による重厚なクライムドラマ。心に闇を抱え、それでも曲げられない信念をもって生きる二人の男の人生がある時、交差する。互いに負けられない闘いで、敗者の決め手となったのは、実力でも運でもなく、驕りだっ

          映画のミカタvol.3/熱き魂の叫び!映画好きおすすめ、必見の名作アクション。

          【尾形百之助生誕祭企画2021】金カム尾形&杉元「互いが互いの影であり、光なのだから」【③残酷な俺の手で、お前に祝福を】

          「互いが互いの影であり、光なのだから」影と光。闇と眩しさ。尾形と杉元――想いも大切にするものも全く違う筈なのに、避けられぬ出会いによって光と影のようにお互いを繋ぐ二人。ゴールデンカムイという物語において、“ふたりの関係性”が象徴するものは、想像するよりも深く、そして暖かさを持って、登場する全ての愛おしきキャラクター達にさえ、影響していくのではないか。“尾形百之助・生誕記念”というお題を頂かなければ、ボリュームにおいても発想においても、描けなかった物語でした。尾形そして杉元の背

          【尾形百之助生誕祭企画2021】金カム尾形&杉元「互いが互いの影であり、光なのだから」【③残酷な俺の手で、お前に祝福を】

          【尾形百之助生誕祭企画2021】金カム尾形&杉元「互いが互いの影であり、光なのだから」②:裏切りこそ強さか

          尾形生誕祭2021記念作品、計3話構成の第2話です。混乱の網走から遁走し、キロランケ、アシリパとともに樺太の地を踏んだ尾形と白石。その中に“殺人者”がいることは、もちろん知らない筈の旅の面々。しかし白石の心に抱えるもの、そしてそれを受けた尾形。“杉元”の存在をきっかけに、ふいに尾形の記憶に蘇ったのは……。それぞれの解釈、それぞれの想い。原作に描かれずとも、「彼ら」の想いはどんなに強く思えても時に揺らぎ、信頼と不信、憎しみと愛情を行ったり来たり。それこそが『ゴールデンカムイ』の

          【尾形百之助生誕祭企画2021】金カム尾形&杉元「互いが互いの影であり、光なのだから」②:裏切りこそ強さか

          イエラ・マリ『あかい ふうせん』に見る、デザインと絵本のファンタジックな関係

          『字のない絵本』。ひとつのジャンルとして、過去も今も一定の支持を得ているものの、その先駆けともいわれるのが、イタリア出身のデザイナー・絵本作家、イエラ・マリによる『あかいふうせん』。 強めの緑と赤という、ビビッドなカバー色からしてとても目を惹く本作。40年以上も前に出版されたとは思えないほど、色褪せないセンスがまずその表紙から強く伝わってきます。 大きくふくらむ”ふうせん”…… 白一色のシンプルな風景を、ふくらんだ”ふうせん”は泳ぐように飛んでいき、やがて赤いある「くだ

          イエラ・マリ『あかい ふうせん』に見る、デザインと絵本のファンタジックな関係