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名優から若者へ、力強い愛のまなざし。【冬に味わう珠玉の名画3選】

ロビン・ウィリアムズ、アル・パチーノ、ダニー・デヴィート。ハリウッドにおいて数々の『名画』を生み出してきた黄金期のアイコンでもある名優と、若者たちとの競演作は、そのメッセージにいつも泣いてしまいます。一度は耳にしたりご覧になったことのある名作ばかりとなりますが、不穏な年の始まりだからこそぜひお薦めしたい、三者三様の【名作】をご紹介します。

①『いまを生きる』ロビン・ウィリアムズ/彼の存在そのものが、いつも夢を与えてくれた。(1989年:アメリカ)

厳格な名門男子校に赴任した、若き英語教師のキーティング。古典詩の授業を通し、成果主義のエリート教育に縛られた生徒達に”生きることの素晴らしさ”を教えようとする。最初は驚きとともに反発していた彼らも、その熱意と魅力にしだいに心を開いていく。やがてキーティングとの交流を通して芸術への秘められた憧れや、恋愛等、それぞれの”生きる希望”を見出していく彼らだが、それを許さない周囲の大人達との亀裂は深まり…

邦題は、劇中でのキーティングの台詞であるラテン語「カーペ・ディエム」(今を生きろ。今を掴め)から。スクリーンを通じ、生涯、天性の「茶目っ気」で私達を魅了し続けたウィリアムズは、瞳の表情や手の動きだけで”希望”という儚いものを、形あるものに変えてくれるようでした。青春の戸惑い、生きることの意味、仲間や師との心の繋がりの大切さを、強く語りかけてくれる青春映画の不朽の名作です。

②『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』アル・パチーノ/人生の光も闇もより際立つのは、彼だからこそ。(1992年:アメリカ)

名門高校の苦学生・チャーリーが感謝祭の帰省費用のため引き受けたアルバイトは、頑固で気難しい盲目の退役軍人・フランク中佐の世話だった。強引に中佐の”ある計画”に付き合わされ、NYへ向かうはめに。高級ホテルに豪華な食事、美しい女性…気まぐれな彼の行動に付き合わされるうち、しだいに、中佐の孤独に気づき、心を通わせていくチャーリー。旅を終え学校に戻ると、そこでは彼の経済的な理由につけ込んだ、忌まわしい”審判”が待っていた。後ろ盾のないチャーリーが窮地に立たされたとき、現れたのは…?

盲目の軍人を気迫溢れる存在感で演じきったパチーノの、アカデミー主演男優賞受賞作。アウトローさと繊細さを併せ持つ独特の魅力が、匂い立つような芳醇さで、スクリーンから溢れ出す。交わるはずのなかった二人の奇跡の邂逅を通じ、誰かを、そして自分をもう一度信じることの素晴らしさを思い起こさせてくれる感動作です。

③『勇気あるもの』ダニー・デヴィート/不遇も苦境も笑い飛ばせる、強さを教えてくれる人。(1994年:アメリカ)

敏腕広告マンのレイゴーは、ひょんなことから職を失い、陸軍訓練生の英語教師という、畑違いの職に就くことに。半ばヤケクソでシェイクスピアについて教え始めると、実は破天荒なストーリーに衝撃を受けた生徒たちは、自ら「ハムレット」を演じたいと願うようになる。古典に描かれる差別や、悲恋に自らを重ね合わせ、誰からも認められたことがなかった彼らは始めて、自らを肯定していく。そして”負け犬”として卑屈になっていたレイゴーも、また…。

何度も観たけれど、その度に他のどの作品よりも一番泣いてしまう素晴らしい作品です。【古狸】という形容がぴったりの風貌に抜群のユーモアセンスを持ったデヴィートの面目躍如、はまり役。はみだし者に寛容でない社会の在り方を、説教じみるとなく風刺する、強いメッセージをもった作品でもあります。現代にある「ルネッサンス」は、もともと”再生、人間性の復活"を示す言葉。本当は誰もが既定の価値観に縛られない自由な生き方を選択できると、温かく伝えてくれる快作です。

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