筋書きはベタでいい

筋書きはベタベタのベタでいい。なんなら気に入った作家の丸パクリでいい。大事なのはネチネチと微に入り細を穿つて空間と時間の描写、登場人物の息遣いと鼓動を描き切ることだ。それで初めて、ベタなストーリーを真剣に読ませることができる。没入すればどんなベタも斬新に感じられる。その手間を惜しんで筋書きだけ奇異にしても読者は相手にしてくれないのだ

そこで大事になってくるのが読者とのシンクロだ。登場人物の吐露、足取り、背景の空気の移ろい‥を共にすることで、読者の視点がメタからミクロに移行する。登場人物と同じ立場に立つ。ここから味わう展開は、虫の視点であり、ストーリーがベタでも驚きに満ちたものになるのだ

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