【エッセー】コピーのための批評──戦略としての「存在論的、広告的」
東浩紀『郵便的不安たちβ』(河出文庫)を読んでいた。これは1991年の『ソルジェニーツィン試論』から始まり、1998年の『存在論的、郵便的』(通称「郵便本」)を経由し、21世紀初頭に至るまでのさまざまな仕事を集成したもので、『動物化するポストモダン』もとい波状言論・網状言論的なものが生まれるまでの経過が断片的に把握できる一冊となっていたが、その中でもとりわけ目を引いたのが「存在論的、広告的」と題された連載コラムの段だった。
同コラムは90年代の文化状況を概観することから