「scalar」
「思い出?」
「うん。」
「どうだろ、特にないや。」
「でも、ここまで頑張ってきたし。」
毎度、朝になれば向かうわ
「それもそうだ。」
でも、ちょっとくらい休んだって、
神様に聞いてみる
「そんな大層なことだったかな」
意味無くなって、
「泣くなって。」
回想から抜け出したら
「これが終わったら、目が覚めるのかな。」
「こんなしょうもない世界で生きるのかな。」
そこまで声は届かないし
なんとなくで来てみた場所だったから
気合い入れて冷静でいられないなら
隅の方で黙って寝たふりすればいいよ
この世界にただ強制されてる
“普通”になること
底無しの悪意に
僕はもうダメだよ、僕はもうダメだよ
「僕はもうダメだよ。」
「生きることは何だっけ。」
好きなことも大概で、
生まれた先ミスっていて
それでも僕は生きていて
希望を抱き続けることが
残酷なのは身をもって知った
逆さまかな、皆違うのに
平衡感覚それすら忘れて
迷って彷徨い、周りを見渡し
僕以外いない、見捨てないでどうか
「見捨てないで、誰か。」
君だけは
「別にいつでもいい。」
「そういうとこが好き。」
「僕も“普通”じゃない。」
「君もそうなんだろう?」
「思い出?」
「うん。」
「どうだろ、特にないや。」
「でも、ここまで頑張ってきたし。」
毎度、夜になれば思うんだ
「それもそうだ。」
ただ生きて、生きて
「生きて。」
「生きることは何だっけ。」
好きなことも大概で、
生まれた先ミスっていて
「それでも君は生きていて。」