習近平の恨みの原点は生い立ちにあるのか?

習近平が過去の歴史を執拗に強調し、中国を「世界の中心」に戻そうとする姿勢は、彼個人の生い立ちと深く関係しています。彼は単なるナショナリズムの煽動者ではなく、自身の人生経験から「屈辱」や「復讐」という価値観を強く持っている可能性があります。


習近平の生い立ちと形成された価値観

1. 文化大革命での過酷な経験

習近平は1953年に生まれ、「紅色貴族」(共産党の高級幹部の子息)として育ちました。彼の父・習仲勲は毛沢東の側近の一人で、共産党創設時からの大物でした。しかし、1966年に**「文化大革命」**が始まると、一転して父は「反革命分子」として失脚し、習近平一家は迫害を受けました。

  • 1969年:15歳の時、地方へ「下放」される

    • 北京から陝西省(シャンシー省)の農村に送られ、極度の貧困と過酷な労働を強いられる。

    • 「指導者の息子」だった彼にとって、突然の地獄のような環境は精神的に大きな衝撃だった。

    • 「下放」の経験が彼の価値観を変え、「強くなければ生き残れない」という思想を育んだ可能性がある。

  • 父の失脚が与えた影響

    • 習近平は、一度権力を失うと家族全員がどれほど酷い目に遭うかを目の当たりにした。

    • これにより「権力は絶対に手放してはならない」「復讐の機会があれば相手を叩き潰すべきだ」という考えを持つようになった可能性が高い。


2. 北京に戻るための苦闘

文化大革命後、習近平は共産党に何度も入党申請を出したが、何度も拒否された(7回以上落ちたと言われている)。しかし、彼は諦めず、最終的に党に受け入れられた。この経験は、彼の「忍耐」「計算」「権力への執着心」を鍛えたと言われている。

  • 清華大学入学(1975年)

    • 文化大革命が終わり、毛沢東が死去すると、共産党のエリート層が再び権力を握り、習近平もその流れに乗ることができた。

    • ただし、彼は「特権で大学に入れられた」と周囲に思われ、政治的には冷遇されることもあった。

    • ここで「自分は決して軽く見られてはいけない」というコンプレックスを抱くようになった可能性がある。


3. 習近平の「復讐心」と「権力欲」

  • 父の復権(1980年代)

    • 習仲勲(父)は80年代に復活し、広東省で経済改革を進めた。

    • しかし、再び政治闘争に巻き込まれ、党内での影響力を失った。

    • これを見た習近平は、「権力を持っていても失えばすべてを失う」という恐怖を強く持つようになった可能性が高い。

  • 党内での冷遇

    • 習近平は紅色貴族の一員でありながら、「天才」タイプではなく、最初は地味なポジションに追いやられていた。

    • しかし、彼は慎重に動き、目立たずに着実に出世し、胡錦濤や江沢民の派閥が争っている間に、最終的に最高指導者の地位を掴んだ

    • 「慎重に権力を掴み、相手が油断したら徹底的に潰す」という戦略を学んだ。


習近平が世界に恨みを持つ理由

1. 「屈辱の世紀」の教育

  • 中国共産党は、「欧米と日本によって中国は屈辱を受けた」という歴史観を教育している。

  • 習近平自身、父親が共産党内で粛清されたことと重ね合わせ、「裏切り者」や「敵」に対する強い復讐心を持っている可能性が高い」。

  • 彼にとって、欧米や日本は「過去に中国を侮辱した敵」であり、自らの人生における敵(党内のライバル)と同じように叩き潰すべき相手と認識している可能性がある。

2. 「強くなければやられる」という信念

  • 文化大革命時代の生存経験から、「権力を失えば、人生が地獄になる」と考えている。

  • そのため、彼の政策は「対立を避ける」のではなく、「勝つために相手を抑え込む」方向に進んでいる。

  • これは、欧米の「協調外交」とは根本的に異なる考え方であり、中国が強硬路線を続ける理由の一つである。

3. 「習近平思想」の形成

  • 習近平は、毛沢東のように「歴史に名を残す指導者」になりたがっている。

  • 彼にとって、「経済発展」だけではなく、「軍事・政治的覇権」を確立することが目標になっている。

  • そのため、彼の行動は「帝国主義的」になりやすい。


結論:習近平の恨みの根源

習近平は、

  • 文化大革命での迫害経験

  • 父の失脚と復活を見た経験

  • 党内での競争と権力闘争

を経て、「強くなければやられる」「敵は徹底的に潰すべき」という価値観を持つようになったと考えられる。

そして、「屈辱の世紀」として語られる欧米・日本に対する歴史的復讐心と、自身の人生で感じた敵への警戒心が結びついた結果、現在の中国の帝国主義的行動に繋がっている可能性が高い。

つまり、習近平の恨みは単なる「愛国主義」ではなく、**彼個人の人生経験によって形成された「復讐の論理」**に基づいているのかもしれない。

いいなと思ったら応援しよう!