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朧げに、確かに何かを見ていた気がしていたが、今では分からない。

何だか自分の生き方みたいだ。そう、彼は思った。

はっきりとあの時見えていた感覚が、日々だんだん擦れて無くなっていく。

確かに手にしていたものが指の隙間から零れ落ちていく。

戻りたい、なんて気持ちも今では湧かない。

悲しい、寂しいなんて感覚も今ではなくしてしまっているのだ。

それが1番、彼の心を空っぽにするのだ。

しかしそんな日々の全てが、今日の彼を彼にする。
彼はいつ、それに気づくのだろうか。

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