耳障りの良い音楽を好んだ少年が、何故メタルという邪悪な音楽に惹かれたのか?その経緯を話していく。
中学生までは普通だったんだ
普通に好きな音楽を聴いていた時代。
流行り廃りの音楽。僕の愛用しているMDプレイヤーには多くの耳障りの良いポップスで溢れていた。
ロックは聴いてもJRock。いわゆるLUNA SEAやGLAY等。聖飢魔IIもその頃から聴き始めたけど、正直メタルだとは思わなかった(というよりもメタルというワードすら知らない)
そんなある日
学校が終わり家に帰り、毎日のようにたむろする友人達も家に帰った。
夕食を食べ、親父はビデオを借りにTSUTAYAまで行くと聞かされたのでついていくことにした。
僕は専ら映画には興味がないので、音楽コーナーへ。
今日の僕のお目当てはGLAYのアルバム
そんなこんなで無事買ってもらい
早速家のプレイヤーにCDをいれる。
ドキドキしながら待っていると、異様な雰囲気のメロディーが流れた。「え!?こんなおどろおどろしい雰囲気の曲なんてあるのか?」そう思った矢先、明らかにGLAYとは音色が違う音が流れ始め、まるで無数の鉄の針を投げつけられている様な感覚になった。
よくジャケットを確認してみると
グレイはグレイだけど…よく見るとスペルが違う。
そもそも…なんて読むのだろう?
結局聴くのを中断し
次の日音楽通の友人に問い合わせて見ることにした
「昨日TsutayaでCD買ってもらってさ」
「GLAY何だけど、どうもおどろおどろしいというか、ボーカルも変な歌声で気持ち悪いんだよね?」
「呪われてんのかな?」
と僕が言うと
「お前それDir en Greyじゃないの?」
何やそのワード…
あれはGLAYではなく別のバンドだったのか?
どおりでおかしいと思ったんだ。
結局買ってもらったので一応最後まで聴いて見ることにした。どのアルバムかは覚えてないけど、一曲トラウマ級の曲が入ってた気がする。
今までの音楽にはない残虐さ
そして救いようのないメロディーとボーカルの異様な歌声
激しくも恐ろしいメロディの中に垣間見れるノスタルジックさ。
なんというかものすげえ心地が良かったんだ…
今までは今の僕からは想像つかないが
マジであややとか聴いてたww
あややめっちゃええわーとか言ってたからね。
Love涙色、桃色片想いなんてキラーチューンだったw
そんな僕がここまで残虐性のある音楽に対して
心地がいいと思うなんてあり得ない話だったんだ。
思えば僕が始めて洋楽アーティストが動いている映像を見たのは確か中学の頃の音楽の授業だった気がする…
音楽の先生は大の洋楽マニアで、事あるごとに洋楽アーティストの凄さを話し始めるが
そもそも中学生位の年齢では理解が出来るはずもなく
大概の生徒は聞いてるふりして完全スルーしていた。
ある音楽の授業の日、今日はリコーダーも教科書も持ってこないでいいと言われたので、よーし自習だろ!?なんて意気揚々に移動クラスへ向かう生徒たち。
そしてそこに待ち構えていたのは超巨大なプロジェクターのスクリーンに奇妙なVHSの箱が置いてあるのに気がつく
「おい!?これQueenじゃねえの?」
と何故か異様に詳しい友人Aが叫ぶ。
「Queenってあれだろ?胸毛の人だろ?」
と失礼極まりない奴も騒ぎ出す。
そんなこんなで先生が教室に入り
どうやら今日は只管ビデオの鑑賞会をやるらしい…
席につくと急にビデオをセットする先生
そしてこのビデオを見たあと皆さん感想を書いて提出をするようにと告げられる。
「◯ッチなやつじゃねえよなー」
なんてベタなツッコミを入れたやつは速攻退場を喰らい
教室内は既にガヤつき始める
ビデオが再生されて、とあるMVが再生された
「デッデッデ、デッデッデッデデ」
というリズムの良いベースの音
今聞けばカッコいいリズミカルな曲なのだが
箸が転げてもおかしい年代のガキにはそれが異様に面白いメロディに聴こえたのか、既にクスクス笑っている生徒もいる。
そしてボーカルフレディマーキュリーが登場!
教室内大爆笑
急にこんな格好の男が腰をくねらせて入って来たのなら
そのくらいの子どもが笑わないはずがない。
もはや◯体以外何者でもないこの姿
その後、僕たちのクラスでフレディーのモノマネが大流行したのもこの日からだったのだろう…
もはや感想もクソも
終始笑っていたので、どんな音楽なのかもしっかりと聴いていなかった。
これでまともな感想を書けるのだろうか?と不安な中
曲は終了してしまった。
そして間髪入れずに次のMV
お次はこれだった
「I Want Break Free」
この教師は正気なのか?
そもそも彼はたしかにド天然で有名だ。
職員室内でもしばしばその話題が上がるほどらしいがまさか本当にド天然だったとは。というか彼の精神状態を疑ってしまった。
勿論教室中はパニックを起こすほどの大爆笑
近くの教室の生徒たちでさえ、その笑い声に驚き
見に来た生徒もいたほどだ。
Queenだって格好良くて見栄え良いMVなんて沢山あったはずなのに、何故数あるビデオの中でこれを選んだのか理解に苦しんだ。
もはやQueen=変態と認知されて
洋楽には変なアーティストしかいないんだなんて豪語する輩まで現れ、洋楽好きな生徒は明らかに被害を被っていた
彼らが大人になり、映画ボヘミアン・ラプソディをまともな精神状態で見れたのか?逆に気になってしまう
フレディーは変態といった先入観から、あの感動の大作を見ようといった精神状態に至るのだろうか?疑問である
結局その授業は散々な結果に終わった
その後数曲MVがプレイされたがもはや変態といったレッテルを貼られた以上何を流しても無駄なのである。
感想文も、変なヒゲのおじさんが変態な格好をして歌っていたが歌は凄く上手かったと書いた覚えがある。
それが僕にとって初めてのロックスターの映像だったんだ
それからというものの、やはり音楽は邦楽が一番心地が良くて、洋楽はなんか受け入れがたいといった立ち位置。
きっとこれから先もこうやってヒット曲が出ればそれに食いついていく。商業的な音楽こそが僕にとってベストなのだろうと思っていたのに…
とある友人のお陰でそのスタイルも崩壊していくことになった。
音楽通の友人は
常に時代を先行していこうといった姿勢を貫いた。
他が聞かない音楽。誰も手が出さない音楽をいち早く察知し彼は自分の知識として蓄えていた。
彼には普通の音楽じゃ満足できなかったのかもしれない
そのな彼がある日
僕に一枚のアルバムを持ってよこしたガンズ・アンド・ローゼズのアペタイト・フォー・ディストラクションだ
お前これマジでかっこいいから聞いてみ
彼の発言は嘘なのではないかと思った。あのQueenの一件からちょっと敬遠気味だったんだけど、直感的にこれは流石にジャケットもかっこいいわけだし、当たりかもしれんなと彼の言葉を信じてみることにした。
勿論帰宅後直ぐに音楽を聞けるわけではなく
たむろした仲間たちが帰って静かになった部屋で聞くことにした。
先ずは小手初めに一曲目…
僕の今までの音楽の常識が覆された
ディレイがかったイントロ、ドラマティックな導入部分
そしてギターがハジけてテンションがマックスになる頃にはすっかりその音に魅了されていった。
アクセル・ローズの歌唱方法。今まで聴いたどのアーティストよりもロックだと感じた。
法をぶち壊すようなアナーキーさ、あまり上品とは言い難いシャウトも僕にとって大きな刺激になった。
手に汗を握るとはこういうことを言うのだろう?
滴り降りそうな程に濡れた手のひら、そして僕がギターを弾きたいと本気で決断させてくれたスラッシュのギターソロ。
「な、なんてカッコいいんだ!!」
ただただスラッシュのプレイに圧倒されてしまった
すっかり激しい音楽に魅了されてしまった僕はハードロックに始まり、モトリー・クルーやドッケン等のLAメタルに手を出すようになった。
そしてそれと並行して、コミカルでありながらヘビーメタルなSex machinegunsに出会い、カッコいいシェイプのギター。あんちゃんスターのカッコ良さを知ることとなった
まだメタルと言ったものの明確なジャンルという物がわからなかったが、ゴリゴリにヘヴィーなディストーションサウンドは今まで聴いてきたサウンドとは明らかに違う
男らしく、悪魔的な音がいつしか僕の中で常識となったんだ。
それから僕はディープ・パープルやビートルズ、レッドツェッペリンを愛聴するようになって
いつしかあややのMDはホコリをかぶることになった。
そこから海外へ留学をし、更にエクストリームメタルからの影響を受けて今現在のメタラーへと進化していった。
これについては詳しくこちらに記載してあります!
お時間がある方はどうぞ!
メタルに限らず、プログレ等本当に幅広い音楽に触れるようになった今
まさに音楽とは、メタルとは僕が生きていく中で切っても切れない存在であることは間違いがないのだが
あの時を振り返って、まさか僕がここまで残虐な音楽にのめり込む様になったなんて、当時の少年時代では到底考えられなかった事だ。
ハードロックに始まってLAメタル。デスメタルやブラックメタル。そしてブルータルデスメタルまでに手を出すなんてのは、ある意味リミッターを外さなければ到底たどり着くことがなかった境地だと思っている。
車のステレオでブルデスを聴けば
周りの健常な人間からすれば、さぞキチガイに映ることだろうw
もはや音楽なのかも怪しい、歌なのかどうかもわからないような、下手すりゃただの雑音が、僕の心を癒やして
僕という人間を形成しているのだから…
過去の僕にもし出会えるのならば
「お前はいつしかおかしな音楽にのめり込むようなキチガイじみた人間へと変貌するのだぞ?」
と教えてあげたいんだ。
音楽の授業のフレディマーキュリーなんて比ではない
もっとおかしく、ぶっ飛んだヒゲはやしてガチムチな親父の音楽を崇拝することになるのだ
すなわち悪魔教の音楽を崇拝する様な人間ヘと変貌するのだからな?
人生などわからないものだ…
勿論だからといってメタルを聞かなくなることなど断じてあり得ない。
間違ってもゼロだ!
メタルこそ至高であり
メタルこそ我が血肉になる
メタルよ永遠に…
それではまた…