(妄想)メジャーと同人に跨ったベストアルバムの制作

導入

同人音楽をやってるサークルには、一部の楽曲をメジャーでリリースしている方々が居る(例:石鹸屋、豚乙女、岸田教団&THE明星ロケッツ など)
こういった方々が仮にオールタイムベスト盤を作る場合、そのために行うであろう手続を素人目線で考えてみる。(※東方アレンジを含むとややこしくなるため、オリジナル曲に限定して考える。)

メジャーリリース楽曲の取扱

リリース当時の音源をそのまま使う場合、基本的にレコード会社との交渉が必要になる。原盤権(サポートミュージシャンやマスタリング担当者等、収録に関わった人達の権利)をレコード会社が持っていることが多いためだ。
1から再レコーディングであれば原盤権がアーティスト側にある音源を作る形の為、そこの交渉はいらない。(レコード会社に再レコーディングを禁止する内容の規約がある場合は例外)

それとは別でレコード会社は基本的に音楽著作権管理団体(JASRACやNexTone)の会員である以上、アルバム収録にあたって著作権管理団体への手続きが必要となる。

同人リリース楽曲の取扱


基本的に、原盤権はアーティスト側にある。
そのため、録音済みの音源を使うこと自体に制約はない。
※例外として、同人リリース時のスタジオ音源をメジャー作品でも収録した場合、レコード会社に原盤権を持っていかれてる場合がある。(その場合レコード会社と要交渉)
著作権は、無信託なら何もしない、メジャーでも収録した楽曲(音源の種類問わず)や自分で信託した楽曲は手続きが必要。

著作権使用料の処理とリリース方法

コミケ等で管理楽曲が収録されたCDを手売りする場合、CDの発行部数分だけ先に著作権使用料を支払う必要がある。
(参考1:JASRACの計算方法https://www.jasrac.or.jp/info/create/cal01.html)

(参考2:NexToneの計算方法
https://www.nex-tone.co.jp/files/royalty_table.pdf)


サブスクやDL販売等の、管理楽曲の配信リリースを行う場合は売上額に対して著作権料が徴収される。(参考:JASRACの計算方法https://www.jasrac.or.jp/info/network/side/hayami.html
NexToneは先のURLに記載あり)
ただし、サブスクやDL販売は包括契約のサイトばかりのため、使用料を別で取られることはない、サイトが負担してくれるから。
逆に、経由する音楽配信代行サービス(TuneCore等)に対象楽曲の作品コードを伝えておけば著作権収入が得られる。(音源の売上と別で)
唯一の注意点は包括契約のないサイトでのDL販売だ。メロンブックスや、Booth、DLsiteに登録してる場合は個別で申請しなければならなくなるため、ここではDL販売を行わないほうがいいだろう。

なお、部分信託になっている楽曲の場合、
「配信は信託してるがCD収録は信託していない」
「CD収録は信託してるが配信は信託していない」
「配信とCD収録で管理団体が違う」
ということもあるので、念入りに管理範囲を調べよう。信託してない方の処理に管理団体の手続きはいらない。

あと愚問かもだが、
CDしか出さないなら配信の手続きはいらないし、
配信しかやらないならCDの著作権料はいらない。

結論

メジャーリリース楽曲は全て再レコーディングすれば著作権管理団体への手続のみにできる。
その上で、配信リリースに絞れば著作権料として払うものは全く無くリリース自体は可能と言える。
しかし、現実的に考えると、
・単曲でも聴きやすい昨今に、ベストアルバムをリリースする意味はあるのか、
・再レコーディングに労力を割く価値を見出だせるか
それを考えると実現はしないであろう。

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