鬼の相手は呪い 呪術廻戦 花御
久々の二次小説です、ここ最近、舞台のライブ配信の感想、読書、旦那の体調で二次がなかなか書けなくて、気持ちがだるンとしていたけど。
今度はオリジナルのザマァを書きたいけど、オペラ座も気になるのよ。
少し文章を書くのに前向きになってきたのかな。
異形、自分とは明らかに違う、何者だ、突然、現れた存在に鬼は驚いた、だが、鬼だけではない、部屋の中にいた全員が視線を向けていた。
だが、そんな事を気にする様子もない異形は部屋の中を見回した。
人間のような姿で手足はある、だが、目の部分からは木の枝が出ている、右肩は白い包帯でぐるぐると巻かれている。
異形はベッドに近づくと寝ている金髪の男を見下ろした。
鬼は気づいた、こいつのせいだ、突然、部屋を覆い尽くすように生えてきた植物、そして現れた異形、こいつは。
刀を握り、斬りかかろうと決めた、こいつは自分とは違う、だが、敵だ。
「私は人間ではありません」
異形が鬼に向かって声をかけた、静かな女の声だ、なのに感じてしまった、だから、ゆっくりと構えたのだ刀を。
「戦うというのですか」
「当たり前だ、人間を、いや、その女も殺して」
その言葉にゆっくりと首を傾けると鬼を見た異形は答えた。
「そうですか」
静かな声と言葉だ、なのに鬼は自分の刀、いや、持つ手が震えるのを感じた、こいつは、どんな力を持っている、自分と同格か。
いや、それ以上だとしたら、ここで戦うのは、そう思いながらも鬼は刀をふるった。
確実に殺す為には首を切り落とすしかない。
力を込めて振り下ろした、なのに、刃は首、ぎりぎりのところで止まった。
自分は殺すつもりで振るったのだ、相手が何者だろうと、恐れなどない、恐怖も。
それまのに、まるで、刀が拒んでいるようだ。
このとき、鬼は足下が揺れたような感覚を憶えた、それは一瞬だった、部屋の中から鬼の姿が消えたのだ。
「死ぬの」
低い、それは大して大きな声ではない、なのにマルコーの耳には、はつきりと聞こえた。
「早いですよ」
異形は女を抱き上げるとベッドに近づくと寝ている男に声をかけた、起きなさいと。
疲れているだけという異形の言葉にマルコーは驚いた。
汽車の中から今まで自分は見てきた、そんな一言で片付けられるものではないと思ったのだ。
「眠ってください、私では人間を治す事はできません」
ベッドの周りを覆うように緑色の蔓と枝が伸び始めた。
「目が覚めたら医者に」
だが、その言葉は最後まで続かなかった。
いきなり空間が割れ、消えたと思った筈の鬼がそこから現れたのだ
斬りかかってきた鬼に対して、異形は身動き一つせず、ただ立ったままだった。
胴体が真っ二つに切られ、上半身は床にゴトンと音を立てて落ちたのだ、完全に切断したのだ。
その筈だったのに。
目の前には傷一つない異形の姿を見て鬼は、ほんの一瞬、訳が分からなかった、幻覚を見たのか、幻を切ったのかと思った。
手応え、感触はあった、だが、すぐに。
再生したのだ。
「それで、どうなんです」
鬼は答えなかった、迷ったからだ。
「貴様、力を」
鬼の声に漂うものに気づいたのだろう、異形はそっけないくらいの声で答えた。
「厄介ですね、あなた」
そのときベッドに寝かされた女が体を起こそうとした。
「は、はなみっっ」
それが名前なのだろうか、首を降ると、手をドアへと向ける。
部屋の中がしんとなった。
「ここは私の居場所ではない、けれど、できません、何故なら」
マルコーだけではない、ラストも金髪の男も思った、はなみと呼ばれた異形が笑ったと。
鬼を見ながら異形はわかりませんかと尋ねた、いや、質問したといったほうがいいだろう。
「何故、本気を出さないか、私が」
異形は部屋の中にいる人間に視線を向けた。
「あなたは人間ではないようですね」
金髪の男に視線を向けたが、次に黒髪の女、ラストに向けた。
(人ではないと)
そして、マルコーを見ると、じっと視線を離さず近寄った。
「あなた、手を組みなさい」
意味がわからず、マルコーは異形を見た、答えを待たず自分の背後に異形が立った。
何をするのかと思ったが長い筋肉質の手でマルコーの手を重ねた。
呪いの種子を使う、だが、それだけでは駄目です、だから、ここであえて使う。
「領域展開」
部屋の中が光で眩しく光った。