レシピ本のこと(1)
独身の頃は料理を全然しない人間だった。
料理の上手な母親と妹がいたので、私の役目は「食べる係」だった。母と一緒に料理を作る…などというシチュエーションは皆無。だから、結婚して自分と夫の食べるものを私が作らなくてはならなくなって、だいぶ困った。
困って買った最初のレシピ本が、オレンジページブックスの「おかず1年生」。本当に、料理を何も知らない人にもわかりやすいレシピ&ハウツウ本。私の料理の基本はこの本で身につけたと言っても過言ではない。料理の味も、ずっと実家で食べていたものに近い系統の味…だったと思う。
家にある普通の調味料や、普通のスーパーで買うことのできる食材を使って、簡単な手順でできるものばかり。当時はフルタイムで働いていたし、料理は毎日作らなくてはならないから、それが本当に助かった。挫折せずに、一応楽しく料理を作り続けられたのは、最初にこの本に出会えたおかげだ。
この本をもとに、少しずつレパートリーを増やしていったが、味覚の基本は母親が作ってくれた、ずっと実家で食べていた料理。一緒に料理は作らなくても、受け継ぐものはあったのだと今は思う。
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