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カップウィナーを意識したあの日
【ALB Link Vol.59 -2021.6.9 新潟vs金沢(天皇杯2回戦)-】
2年ぶりとなる天皇杯の戦いが始まります。昨シーズンは特殊なレギュレーションとなり、J2中位に終わったアルビレックス新潟は出場権を得ることができませんでした。今シーズンは現在J2首位。この勢いのもと、初戦を勝ちあがりたいところです。
そんな天皇杯ですが、過去の歴史を思い出したとき自分には正直ほとんど記憶に残る試合がありません。その理由としては、
・ほとんどの年に3~4回戦で敗退している(初戦敗退or1~2試合くらいしか勝っていない)
・最高記録が準々決勝で過去一度だけ、しかも10年以上前
・西日本で試合をしたことが少なく、現地で試合を見られていない
といったところでしょうか。記憶をたどると思い出されるのは、準々決勝の日本平、フクアリでPKで負けた試合あたり。西日本開催だと直近の金沢と、2008年に鳥取で試合があったこと(どちらも行けていません)。それと以前は地方開催が多かったので、勝っていれば丸亀開催だったのにという試合が何試合かあったことが思い出されます。
このようにタイトル争いと縁遠い日々が続いたアルビレックス新潟ですが、タイトルを意識し気持ちが高揚した試合がありました。それは万博記念競技場で行われた2015年のヤマザキナビスコカップ準決勝第2戦です。
準々決勝の浦和戦に第1戦で5-0という圧勝し、アドバンテージを活かして第2戦を逃げ切り。勝ち進んだ準決勝のガンバ大阪戦もホームでの第1戦でアウェイゴールを許したものの2-1で勝利し、クラブ史上初のカップ戦決勝が見えてきた中での試合でした。
この試合を現地で見て感じたのは、決勝へ進出するんだというサポーターの熱量。そしてここまで勝ち上がると、普段なかなか会うことができないサポーターの方に久々に会えるんだなということでした。数年ぶりにお会いできた方もおられて、やはりそれだけカップ戦の決勝が見えてくると違うんだなと。
勝ちor引き分けで決勝進出という試合でしたが、それ以上に得点を奪えるかどうかがポイントでした。0-1だとアウェイゴール差で決勝進出を逃してしまい、1点を取れば1-2でも延長に持ち込むことができたので。
試合自体は0-0の膠着した展開から、後半に先制を許す展開。そこから後半アディショナルタイムまで0-1で試合は進み、セットプレーでGKもゴール前に上がったところからボールを奪われ、無人のゴールへと流しこまれて0-2。それでも1点を奪えば延長に持ち込めたのですが、それは叶いませんでした。
このようなポイントで試合を見ていたせいか、試合後の自分は決勝に行けなかったという思いよりも、「1点が取れなかったなあ…」という気持ちでいっぱいでした。サバサバとした感情で、悔しさや泣くような思いがあまり湧き出なかった印象が強いです。
そんな中、友人の女性サポーターが号泣しているのを見ました。自分にはこの気持ちが足りなかったんだなと、なんだか申し訳ない気持ちになりました。
あと一歩まで進んだカップ戦決勝への道。後にも先にもアルビレックス新潟のサポーターとしてカップウイナーを意識した試合は現在のところこの試合だけです。
カップ戦の決勝まで進めばまた新しい世界が見えてくるのは間違いありません。当然タイトルを獲ればクラブやサポーターの歴史も大きく変わることでしょう。
今シーズン最大の目標はJ1昇格です。それは分かっていますが、チャンスがある限り、あのカップウィナーを意識した痺れるような試合をもう一度経験したい。そしてタイトルを獲りたい。その思いを胸に新潟を愛する全員で戦いましょう。
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