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【大分】vs水戸(H)「遺産」と「亡霊」 基準と水準

アグレッシブさこそあれど、肝心なところで消極的。実にフラストレーションの溜まる試合であった。
基準は高い。器は大きい。しかし、その器に見合った水がまだ入ってないね、水準が足りないね、って試合。

立ち位置とか

大分の変更は右サイドを小出→野嶽のみ。
一方の水戸は週末から11人全員を変更という大胆っぷり。
昨年もよく試合に絡んでたタビナスに広島から期限付きで加入したゲームを読める土肥、明治大卒の杉浦に唐山、梅田の2トップ。ベンチにも興味を引く選手がいっぱいいた。

ざっくりした試合のハナシ

前のめりな水戸にカウンターから村田に決められ、也真人のクサビから呉屋がループで追いついて。ハイテンポなサッカーは大味な90分となった。

今年の基準

今年の難題は昨年から引き続き「押し込んでからの崩し」だろう。
ビルドアップから前進をしていき、ミドルサード~アタッキングサードに入ってから…途端に固くなる印象。求める基準と現在の水準を比べてみよう。

三竿が持って!崩す!

相手の1stラインを交わした大分。ここから「3枚の旋回」で突破を目指します。「3枚」とは、ここでは三竿、町田、小林成。

パターン1

小林成と町田がそれぞれ外側に立ち位置を取って、小林成から背後の町田にパスを出してニアゾーン(甲府戦での失点シーンで攻略された形)を取る。
水戸は町田のマーカーを土肥→三國に受け渡さざるを得ないが、そうすると三國は町田と呉屋をケアしなけらばならない。土肥は内側に絞ってくる三竿を意識しないといけないため町田にむやみについていくことも難しい。

パターン2

三竿が小林成にパスを出して相手SBの村田の外側からオーバーラップ。町田は三竿が縦パスを入れた場所のカバーをして小林成が背後に出せなかったときのサポートをする。
ここでの狙いは水戸の村田に二者択一を迫ること。小林成が前を向いたらまずい!と内側に絞ったら三竿が背後に来るし、だからと言って小林成のマークを三國に任せると中央で呉屋の監視役がいなくなる。

この「3枚の旋回」でニアゾーンを強襲する、というのが崩しのパターン。これが一つの崩しの基準。

「遺産」と「亡霊」

しかし、この「3枚の旋回」による崩し、昨年までの片野坂体制でもそれはもう愚直に何度も取り組んでいたので、既視感があると思います。これは「遺産」ではありますが、原則に縛られ過ぎると、それは途端に足枷となり「亡霊」へと化してしまう。この日の大分はまさに亡霊に取りつかれているような期待感のなさがピッチに漂っていた。

今の水準

今の大分の水準、クオリティで物足りないことはとても静的であること。
上記で示した2つのパターンでさぁ、ニアゾーンの攻略をしました!となってからの引き出しが少ない。

ブレイク!…で?

サイドを三竿が攻略しました。で、水戸の三國は対応せざるを得ない。中央はタビナスが絞ってきた!
ここまではもう本当に狙い通りにできた。相手を揺さぶって揺さぶって…
ここからはどう点を取るか、それだけです。単に個による「決定力不足」と嘆くのは簡単です。しかしちょっと根が深い。

三竿が深い位置まで侵入して上記のような場所からの選択肢はおそらく3つ。

・ファーにふわっとしたクロス
・ニアに低くて速いパス
・バイタルエリアへのパス

どれが望ましいとかはなく、即興性と擦り合わせで相手を上回るしかないですが、ここでどの選択肢にも受け手が呼び込めない、というのが今の「水準」です。
呉屋と増山がスイッチしてもっと混乱を生み出すわけでもなく、渡邉は相手ボランチ(平塚)を追い越してどこに潜り込むか、被カウンター対策を考えて立ち位置を考える下田や町田は土肥がフリーになるのにそんなに低い立ち位置でいいのか。考えることはいっぱいあります。

もっともっと前へ

とにもかくにも思い切りがもっと必要。
どうせカウンター食らって死ぬなら、もっともっと前のめりに。泥臭さを、貪欲さを、もっともっと攻撃面で見せてほしいと感じました。そして何より、その思い切りの良さで水戸に上回られたのが一番悔しい。

小綺麗に、小手先だけで理論だけでやる頭でっかちなサッカーほどつまらないものはないです。もっと心揺さぶるサッカーができるチームなのに。このフラストレーションはこれまでやってきた「遺産」であるから根が深い、ということは嫌というほど分かってる。それは念頭に置きつつも、今年の「J1昇格」という高い基準で見ているいちサポーターとして、早くプレーの水準を引き上げてくれることを信じるのみです。魅せてくれ。

選手写真は大分トリニータ公式HPから引用

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