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韓国のZOO・消防車のイ・サンウォンがプロデュースしたダンスグループ『ink』について

ink』は、1993年にデビューした韓国の男性グループ。1980年代後半に人気を得た消防車のリーダーであるイ・サンウォンがプロデュースしたダンスグループである。当時の韓国では歌手に対してアイドルという単語を使うことは一般的ではなかったため、ダンス歌手と呼ばれていた。他にもジョ・ジンス(ZAMのメンバー)、キム・ビョンス(Buckのメンバー)、そしてグループの中で最も有名だったアフリカ系混血韓国人メンバーのイ・マンボクなどが在籍していた。

1990年代に韓国でも人気を博していた日本の男女混成ダンスグループであるZOO

消防車のリーダーだったイ・サンウォン、ZAMでリーダーを務めていたジョ・ジンスが日本文化やJ-POPにも関心があった影響で当時、韓国や中国圏でも知名度があった日本のダンスグループZOOをベンチマークし、「韓国版ZOO」として1992年に結成された。以後、韓国で登場するMue、PUMP、ZAZA、Young Turks Club、THE FEEL、UP、S♯arpなどの男女混成グループのほとんどがZOOから影響を受けたダンスグループだった。

現役当時のinkのメンバーたち

1993年に1集『No more contaminated World』からのタイトル曲「はい!今」でデビュー。ニュージャックスウィングやレイブ音楽の影響を受けた楽曲とブレイクダンスを取り入れた振り付けで注目を集めた。特にチュ・ヨンフンが作曲した2集のタイトル曲「シンデレラコンプレックス」は今聴いてもかなりクオリティーの高い名曲である。第1世代のアイドルグループが登場する前の時代、当時としては珍しかった7人組のグループとして活動した(後に8人組のO.P.P.Aや11人組のNON STOPに抜かれることになる)。

音楽番組でパフォーマンスを披露するデビュー当時のink

彼らがデビューした1990年代前半は、ソテジワアイドゥルやDEUXなどが大人気を得ていた時期であり、当時の韓国歌謡界も2人組~3人組のデュオ&グループを好む風潮があったため、大人数の歌って踊るグループは大衆にあまり受け入れられなかった。2集活動ではメンバーが入れ代わり、イ・マンボクがグループの顔として知られるようになったが、ブレイクできなかった。2集活動終了後、1995年にグループは解散した。大人数で歌って踊れるグループという点では現在のK-POPアイドル(7人組~10人組など)の先駆け的存在と見ることが出来るが、ink自体は「期間限定のダンスユニットまたは企画モノ」として評価する方が正確である。

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