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ギルガメッシュNIGHTのライバル番組『殿様のフェロモン』について

殿様のフェロモンは、1993年~1994年までフジテレビ系列で放送されていたバラエティ番組。番組のタイトルは、当時放送作家になったばかりであった岩崎夏海が考案したもので後に「めちゃ²イケてるッ!」などで人気を博すナインティナイン、よゐこ、極楽とんぼ、光浦靖子なども出演していた。1980年代の中曽根政権や地上波の省エネ運動によって深夜のお色気路線が自粛期間となり、フジテレビも「オールナイトフジ」終了後、しばらくお色気番組を制作していなかった。しかし、1991年にテレビ東京が女性向けの情報番組「ギルガメッシュNIGHT」をスタートさせ、当初は苦戦していたものの、1993年頃から徐々に人気を得る。この状況に触発されたフジテレビは「ギルガメの対抗馬」として再び深夜のお色気バラエティを復活させたのが殿様のフェロモンである。

「殿様のフェロモン」のオープニング / タイトルコール

平均視聴率:5%~6%
深夜のお笑い番組「とぶくすり」の流れを汲み、開始当初はコーナー主体で進行していたが、担当ディレクター2人の嗜好により、中期から末期にかけてはエロ(佐久間)とドッキリ(片岡)が番組を占めるようになっていった。番組は基本的に生放送で制作されていたものの、生放送の約2時間前に「似生放送(録って出し)形式で収録したり、放送前週もしくは前々週の生放送前に事前収録するなど、生放送ではない回もあった。

殿様のフェロモンの司会陣たちのトーク場面

中山秀征、常盤貴子、今田耕司、八木亜希子の4人が司会を努め、番組レギュラーには「フェロモンズ」と呼ばれた女性陣たちがしゅつ出演していた。出演していたのは主にモデルやレースクイーン、AV女優がほとんどで番組内でもフェロモンズの派閥や人間関係についても面白おかしく触れられることが複数あり、入れ替わりも激しかった。また中山秀征と今田耕司はこの番組で初共演となったが、2人にも確執があったという。

快感!ハケ水車が回っているのは誰だ?クイズ

番組の放送作家である岩崎夏海が自らの発案で作られた高速で回るハケのついた水車をAV女優の股間に当て悶えさせる「快感!ハケ水車が回っているのは誰だ?クイズ」は過激かつ卑猥なコーナーとして話題となった。以後、このコーナーが人気を得た影響を受けて毎年、夏季に放送されるフジテレビの特番「FNS27時間テレビ」でも1998年~2011年の間に3回復活した。

「快感!ハケ水車が回っているのは誰だ?クイズ」のクレームを紹介する八木亜希子

一方でこの"ハケ水車"には初回放送時から「下品・低俗・不純・公序良俗に反する」といった批判が殺到。またこの番組がスタートした1993年度の地上波における自主規制(第11章~性表現~平成5年度)では、
(70)性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する。
(75)出演者の、言葉・動作・舞踊・姿勢・衣装・色彩・位置などによって、卑わいな感じを与えないように注意する。
と制定されており、この2項目に違反している可能性があるため、問題視された。結果、番組としては約半年、放送回数全17回をもって打ち切りが決定した。番組終了の原因はハケ水車だという意見がよく挙がるが、それ以前にそもそも最初から番組自体があまり面白くなかったという点が大きいと思われる。お色気番組という割に快感!ハケ水車が回っているのは誰だ?クイズ以外のコーナーはあまりエロい内容は無かったし、バラエティにしても出演者の内輪ネタやトーク、フェロモンズなどが目立つ内容が多く、そこまで持ち上げられるような番組ではなかったと言える。

殿様のフェロモンと同時期に放送されていた「ギルガメッシュNIGHT」

ちなみにライバル番組だったテレビ東京の「ギルガメッシュNIGHT」は、女性視聴者を意識して制作されており、ヌードシーンやエッチなコーナーでも女性視聴者が卑猥に感じないような番組作りがなされていたため、殿様のフェロモンが終了した1994年のギルガメは番組の全盛期を迎えることになる。

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