90年代のテレビドラマ『悪魔のKISS』について
『悪魔のKISS』は、1993年7月から9月までフジテレビで放送されたテレビドラマ。キャッチコピーは「悪魔のような誘惑が、はたちの夢を狂わせる。」1980年代後半頃から社会的問題となっていたオウム真理教などに代表される宗教、少年犯罪や売春、風俗などの性関連、サラ金などの借金問題、LGBT関連といった当時の世相を反映したテーマを盛り込んだドラマとなっている。
主演は、奥山佳恵・深津絵里・常盤貴子。3人の娘が都会の魔の世界に陥ってやがて脱出するまでを描いており、3人それぞれの苦難がバラバラに展開していて全体にまとまりに欠ける。このドラマでは特に常盤貴子が過激な役柄に挑戦して一躍、知名度がアップしたことが有名である。当初、常盤貴子演じる柘 茉莉子役には松雪泰子がキャスティングされたが、あまりの過激なシナリオに出演を拒否されてしまい。名前のある女優では出演が難しいという理由で松雪泰子と同じ事務所で当時、まだ無名だった常盤貴子が脱ぐことを条件に代役として抜擢されたという。
第3話の常盤演じる茉莉子がアルバイトをするファッションヘルスに寺脇康文演じる加藤が最初の客として現れるシーンでヌードシーンも辞さない体当たりの演技が話題となり、常盤が新進女優としてクローズアップされるきっかけとなった。このシーンは1990年代までは「お宝映像」と言われていたが、2000年代以降はインターネットが一般家庭にも普及し、ネットで検索すれば画像がいくらでも出てくるため(アップロードされている)、現在ではむしろ¨お宝¨ではなくなっている。また、後年に共演者だった寺脇康文がテレビ番組に出演した際、本作品の第3話の事に触れ、「常盤さんは下着姿で来るとは聞いていたが、まさかノーブラだとは思わなかった」と明かしたことがある。
地上波でヌードシーンは禁止されていないため、作品自体は現在でも放送できる内容ではあるが、本作品の場合は知名度が上がった常盤のイメージを守ろうとする所属事務所のスターダストプロモーション側が版権を買い取ってしまったため、DVDの商品化やオンデマンド配信などは行われていない状態となっている。
余談ではあるが、第3話のファッションヘルスで風俗嬢の控室が映るシーンでAV女優の中村京子がエキストラとして出演している。また、本作品の放送終了後に一部の雑貨店やインターネットなどにおいてテレビ放送を録画した(CMがカットされている)海賊版DVDが販売され、出回ったことがある。