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デビュー寸前だった次世代ジャニーズのアイドルグループ『FIVE』について。

男性アイドルのプロデュース業などを中心に事業展開しているジャニーズ事務所は、1997年に2人組のアイドルデュオKinki Kidsをデビューさせた後、ポストSMAP(ジャニーズの最終兵器)として新しいグループを売り出すことにする。キンキに続くこの新しいグループは、当時ジャニーズJr.の中でも最も人気だった滝沢秀明をリーダー格にすえた5人組で1997~1998年頃からプランを温めていたという。ジャニーズ事務所といえば、1962年の設立以来、男性アイドルグループを次々と世に送り出してきた。第1号のジャニーズに始まって、フォーリーブス、たのきんトリオ(田原俊彦、近藤真彦、野村義男)、シブガキ隊、少年隊、光GENJI、SMAP…と数年ごとに、うまく世代交代していく戦略でアイドル帝国を築いてきた。しかし、トップ人気を誇るSMAPは平均年齢が24.4歳と、もはやアイドル卒業の年齢に達し、ジャニー喜多川は、TOKIOやV6が一線で活躍している今のうちに次のアイドルを準備しておかないと事務所の存続にかかわる問題にならないとも限らないと考えていたという。

1990年代後半に大人気を得ていたジャニーズJr.のメンバー

新グループは「TOKIOやV6の後に続く、21世紀のアイドルグループ」としてSMAPなどをお手本に、東京と大阪の計約120人で構成されるジャニーズジュニアの中から厳選されたメンバーで人気絶頂の滝沢秀明や今井 翼らを中心に「FIVE」(ファイブ)というグループ名で売り出す予定だった。

1990年代のジャニーズ全盛期時代に活躍したジャニーズJr.

しかし、1999年1月にこのデビュー候補だったメンバーのうち、数名(15歳1人と16歳3人の計4名)が、パーティーで飲酒・喫煙したとされる問題が発生。その後、問題を起こしたメンバーはジャニーズ事務所を解雇されたが、解雇された未成年メンバー4人のうち2人は、FIVEのメンバーとしてデビューすることが内定していた。結果、この事件の影響を受け、新グループのデビューは白紙となってしまった。

ライジングプロダクション所属のDA PUMP / ジャニーズ事務所所属の嵐

ジャニー喜多川は急遽、¨FIVE¨の代わりとなる新しいグループを作ることにする。そこでジャニーズ事務所がベンチマークしたのが当時、ライジングプロダクションが売り出していた男性アイドルグループのDA PUMPである。ジャニーズが問題を起こしていた間、DA PUMPが大人気を得ていた状況に触発され、ジャニー喜多川は当時のヒップホップブームと照らし合わせ「次世代のジャニーズにもヒップホップやラップが歌えるグループが必要かもしれない」・「SMAPの後を継ぐグループが必要だ!」・「DA PUMPのライバルグループを作ろう」と判断し、DA PUMPの対抗馬として結成されたのが嵐だった。デビュー候補のFIVEが5人組だったので、嵐も5人組デビューした。5人組でバラエティなどで活躍する部分はSMAPの遣り方を応用し、ヒップホップコンセプトのアイドルグループとして売り出したのはDA PUMPの影響を受けたものである。

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