1990年代にデビューした男性アイドルバンド『TOKIO』について
『TOKIO』は、1994年にジャニーズ事務所からデビューした男性アイドルグループ。グループ名は昔の東京の英語表記（音訳）であるTokioに由来する。男闘呼組に続いて登場したアイドルバンド型コンセプトのグループであり、当時のバンドブームの影響を受けて結成された。先輩グループである男闘呼組は、アメリカのロックバンドBon Joviをベンチマークして本格派ロックバンドをコンセプトとしていた一方でTOKIOの場合は、1990年代は1970年代からの20年周期ということで「1990年代のグループ・サウンズ」・「平成のGSグループ」を目指した路線で売り出された。一般的に音楽面での評価は低い方だが、グループの認知度はSMAPや嵐に匹敵するほど高い。代表曲は『LOVE YOU ONLY』・『宙船』・『AMBITIOUS JAPAN!』。
1989年、テレビ朝日のバラエティ番組『アイドル共和国』内で「平家派」のメンバーだった城島 茂と山口達也が「城島茂バンド」というユニットを結成。 その後、社長のジャニー喜多川が「TOKIO BAND」というバンド名を与え、このTOKIO BANDがTOKIOの前身に当たる。1990年4月、山口が一旦メンガーから外れ、国分太一と松岡昌宏が合流して3人で最初のTOKIOを結成。 少し遅れて小島 啓が加入し4人組となる。 しばらくこの4人での活動が続いたが、城島がジャニー喜多川に交渉した事により、山口がTOKIOメンバーに復帰して5人組編成となる。最後に1992年頃から、ジャニーズJr.の中で頭角を現していた長瀬智也が時折サポートメンバーとして加入するようになる。それ以降デビューまで雑誌・ラジオ・CM等では長瀬を除く5人、テレビやライブでは長瀬を含む6人といった変則的な構成で活動していた。また6人組体制の時期には光GENJIやV6のように、ダンスチームとバンドチームの2つのユニットに分かれて活動することもあった（城島はバンド側のみ所属し、残りのメンバーは両側に所属）。このバンドスタイルと歌って踊るスタイルに分かれて活動するやり方は過去には「ずうとるび」、後年には「ZONE」や「DISH//」などが応用した。長瀬はもともとサポートメンバー的なポジションだったが、デビューが決定した際にメインボーカルとなった。
アイドルバンドであるため、あまり知られていないが、メンバーの運動神経は抜群でバク転やバク宙などもできる。TOKIOが踊っている姿はデビュー前に光GENJI 、やSMAPのバックダンサーを務めていた時代によく見られる。さらにライブなどではメンバー全員、楽器交換演奏も可能で自分の担当以外の楽器も演奏できる。1994年、CDデビューを目前に控えた時期に小島 啓が突然TOKIOを脱退。ジャニーズ事務所からも退所したため、長瀬が正式なメンバーに昇格し、5人組体制となって同年9月に『LOVE YOU ONLY』でCDデビューした。「バンド型コンセプトのアイドルグループ」というとてもユニークな位置で活動し、同世代の男性アイドルとの差別化を図った。また歌手活動よりもバラエティ番組に出演しているイメージのほうが強いグループである。デビュー当時、TOKIOのメンバーは「スタジオ型のバラエティ番組には既にSMAPがいるので僕たちは違う道を探したいです。」と言ってロケバラエティの路線に力を入れた。それがまさに1995年から放送がスタートした日本テレビ系列の『ザ!鉄腕!DASH!!』である。アイドルでありながら農業や漁業、酪農や製造業などを手がけるようになり、「農業アイドル（農ドル）」の代表格とされ、以降、TOKIOの看板番組となった。一般的に歌手活動の面ではあまり話題にならないが、「うわさのキッス」・「ありがとう…勇気」・「君を想うとき」・「花唄」・「青春」、中島みゆきが手掛けた「宙船」・「本日、未熟者」など意外と楽曲に恵まれており、良い歌も多い。デビュー曲の「LOVE YOU ONLY」は、1994年当時、忍者戦隊カクレンジャーの主題歌で有名だった都志見 隆が作曲した歌であり、TOKIOは1990年代のグループ・サウンズの路線を目指していたこともあって、6枚目のシングル「好きさ 〜Ticket To LOVE〜」では、「♫好きさ好きさ好きさ好きさ 好きだって言えよ～」といったザ・カーナビッツの楽曲「好きさ好きさ好きさ」を彷彿させる歌詞だったり、『ハートを磨くっきゃない』、『うわさのキッス』、『SoKoナシLOVE』など昭和っぽい（80年代）楽曲も発表していた。2018年に山口達也、2021年に長瀬智也が脱退。以後、城島 茂、国分太一、松岡昌宏の3人組で活動している。