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【ネタバレ注意!】マダミス「イケニエ」制作ノート その二

はじめに

この記事は、マーダーミステリー「イケニエ」の制作過程について書かれているため、ネタバレの内容を多く含みます。
マーダーミステリー「イケニエ」をプレイしてから、記事をお読みください。
また記事の特性上、フィクションとして人の死に関することをゲーム感覚で記載しています。
実際の殺人や、傷害、事件とは一切関係ありません。また被害に遭われた方を不快にさせる目的もありません。その点をご了承いただき、記事をお読みください。

https://booth.pm/ja/items/4184997

マーダーミステリーとは

ネタバレ回避のために、簡単にマーダーミステリーについて説明します。
プレイしていない方は、ここから先は読まないでくださいね~

一般的な「マーダーミステリー」とは、殺人事件を題材にした推理ゲームです。
プレイヤーは、事件の容疑者としてゲームをプレイします。
犯人を見つけることができるのか、犯人は逃げ切ることができるのか。
関係性や、秘密を暴くことができるのか、どんな結末にたどり着くのか…
を楽しむゲームです。
「人狼」と違うところは、各プレイヤーに担当するキャラクターの設定書が配られることでしょう。

マーダーミステリーのシナリオは一生に一回しか遊べないのも最大の特徴の一つ。
それもまたゲームの緊張感に良いスパイスなんですけどね。


こんにちは、とら吉です!
制作メモその一は、こちらからご覧ください。
制作メモその二の今回は、ゲームとして具体化させていく過程をまとめています。

ゲームとして具体化させていく

ここから先は、次の4つのことをほとんど同時進行で行っていきました。
・①NPCを含んだプレイキャラクターの関係性
・②プレイキャラクターの目論見
・③ゲーム中に開示されていく証拠
・④CCOFOLIA盤面の設計


今回は、①と②を中心に書いていきます

手始めに「進行表」を書き出す

具体的なゲームシステムは考えがまとまっていません。まずは話の導入から考えていくと自然なのかも?と思い、進行表をざっくり書き出しました。

■ゲーム開始前
物語の概要⇒オープニング⇒ルールなどの説明⇒ハンドアウト読込
■ゲーム開始
議論開始⇒証拠開示⇒クールダウン⇒議論開始…
■終幕
推理発表⇒投票⇒エンディング

一般的なマーダーミステリーの進行は、だいたいこんな感じですよね?

前後したり、オープニングや推理発表のないシナリオもありますが、大まかにはこんな感じかと。
まずは、自分の進行用のセリフをイメージしながら、オープニングを書き出します。

オープニングを書く

できるだけ世界観に入り込んでもらいたいので、オープニングの読み合わせを予定。

登場人物たちの議論が始まる前を整理すると
■場所:雪山
■状況:遭難前(滑落前) こんな感じかな?

雪山の遭難なら、天候悪化の猛吹雪が自然かな。天候悪化の猛吹雪の中だと低体温症の危険があるよね。状況悪化で焦っている時って、目印を見落としがちよね?吹雪で目の前が真っ白になると、急に心細くなるし…など、彼らが置かれているであろう状況をできるだけ克明に思い浮かべていきます。
そして、言語化する。この作業が結構好きです。

この程度の文章でも2時間ぐらいかかってる

ここで初めて「雪岩(ゆきいわ)」という単語が出てきました。

登山では岩をルート分岐の目印としていることがあります。
で、よりによってその岩のせいで分岐を間違え、遭難事故が発生することもあります。最近はGPS使うから少なくなったのかな?
実際にあった遭難事件で、印象に残っているのは「金庫岩」と「ニセ金庫岩」かなぁ。世代が分かってしまいますね。
詳しくは、こちら⇒SOS遭難事件 -Wikipedia

「登山家ならだれでも知っている場所で遭難事件が起きる」は、リアリティもあっていい感じ!と手ごたえを感じたので
次は…

トレーラーを作画する

ファイルの作成履歴を見てみると、このタイミングで作画している様子。
オープニングがイメージできるようになったので、描きたくなったようです。
描きあがったイラストに「雪山からの脱出」とタイトルを乗せて完成!…と思ったのですが…タイトル長すぎるなぁ。なんか、もうちょっとカッコいいものは…と、タイトル配置をいじっている最中にふと降りてきたのが

「いけにえ」 というタイトルでした。

シンプルだし、ミステリーっぽいし、脱出目指すことを隠せるし、脱出できないとみんな全滅するし。いろいろ説明できて、想像できるタイトル。
よし、これで行こう。と決まりました。

一応、家族に「このタイトルどう?」と確認しました

証拠カードを作る

オープニングはある程度できた。トレーラー画像もできた。気分はノリノリ。
ということで、次は盤面で展開する証拠カードの作成を開始。
この時点ではハンドアウトや、キャラクター同士の関係性は曖昧なままです。

証拠カードの枚数は、だいたい決めておくことにしました。
枚数決めずにカードを作り出すと、延々と作り続けてしまうんですよ…

証拠カードの枚数
■各登場人物に関すること 3枚×4人分(ABC+NPC)
■記憶に関すること 3枚×3~4人分(ABC+NPC)
■環境・状況・脱出方法 9~12枚

だいたい、27~36枚ぐらいって感じですかね。
プレイ時間90分ぐらいだと、ちょうどいい枚数かもしれません。

大事なことは、3人でいがみ合いながらそれぞれ脱出を目指す。ということ。

最初の作ったカードは「岩」
登場人物たちが置かれている状況を説明する「岩」や脱出するための道具を作って環境を整えました。
対岸に渡らない選択をした人は白骨死体になっちゃうんだよ
めちゃめちゃ危険な場所にいるんだよ
脱出道具は…これで本当に脱出できるかは君たち次第
という思いを込めて「岩」カードを作り始めました。
この時点での「白骨死体」はミステリー感を演出するための、ただの犠牲者でした。
…が。意味のない証拠なんて、意味がなさすぎる!

ということで、「白骨死体」たちは、登場人物たちの所属するサークルの遭難してしまった人たちへ昇華しました。

もう一つの事件

白骨化死体を見つけたことで、自分たちの状況に戦慄してもらう。
タイトルが「いけにえ」と決定した今。白骨化した人々は「いけにえ」として捧げられたに違いありません。
さて。どうやって捧げられたんでしょうか。

登場人物たちには、情報カードをめくってもらいながら、彼らについて恐ろしい想像をしてもらいましょう!どうしたら、ゾワゾワしてもらえるかなぁ。ワクワクしながら考えました。

彼らと同じ轍を踏まずに脱出するには「信じあうこと」…なんですが…
彼らが白骨死体になった理由を探りながら、脱出方法も議論してもらいましょう。

登場人物たちの証拠

環境と舞台が整ったら、次は登場人物たちです。
頭の中で念じていたのは「大事なのは引き算」「大事なのは引き算」「大事なのは引き算」「大事なのは引き算」「大事なのは引き算」「大事なのは引き算」「大事なのは引き算」「大事なのは引き算」「大事なのは引き算」
でした。
クリエイターの心理として、どうしても要素を盛り込みたくなっちゃうんです。でもマダミスは会話劇。要素はプレイヤーさん達で見つけ出してもらうもの。ガマン…ガマン…

まずは、簡潔に関係性をまとめます。
※ネタバレ注意!

空白を埋めるだけでも1週間ぐらいは悩んでいます

最初は「年齢」・「正体」を決めました。
■年齢
年齢は未定にすると世界観が安定しないため、大学生か…社会人か…ぐらいに設定。
■正体
正体は、相関図を書き出した時にさんざん悩んだので、空白を埋めるだけ。

■印象
一番悩んだ「それぞれの対して」の印象マトリックス。
マトリックスにすると、お互いの関係性や、どんな人物なのかが整理でき、具体的に見えてきました。

最後に「目論見」「性格」。
■目論見
ここでNPCが率先して「生贄」を捧げていたという設定ができました。
■性格
ここはプレイヤーに公開する性格。よくよく考えたり、議論をしていくと正体が透けやすいように設定しました。

てなわけで、シナリオの舞台が決まった

・遭難直前のイメージが決まった
・イメージ画像で雰囲気が分かるようになった
・タイトル決定!
・証拠カードの概要なんとなく決まる
・登場人物の関係性が決まった!

ここまで出来たら、次は…
ハンドアウトを作りながら、ゲームシステムを決定します


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