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ドラゴンクエストⅡでRPGの充足感を考える

前回のあらすじ

重度のRPG好きでありながら実はドラクエを一作もクリアしてなかった筆者。
いつまでもそんなのネタにするのはいい加減恥ずかしい…という事で、今になってようやくドラゴンクエストシリーズと向き合う。
手始めにリマスターされた初代をクリアしたが、これが色々経験を積んだ今ですら割と歯ごたえがあり、技量を試すという意味でも楽しい内容であった。
まだRPGの遊び方が浸透していない時代にこういう楽しさを打ち立てたDQシリーズに意外な驚きを覚えながら、続いて同じくSwitchのDL販売である「Ⅱ」を購入するのであった。

今回もSwitchのリマスター版をDLで購入。

多vs多の乱戦、解禁ッ

今回の「Ⅱ」では前回はひたすら勇者と魔物のタイマンだった戦闘が3人チーム編成になり、能力や装備・使える魔法でそれぞれの個性をいかに使って戦い抜くかという戦略性が加えられた。

  • ローレシアの王子
    おそらく主人公であり、最初から操作することになるキャラ。
    魔法は使えないが装備できる武器や防具のレパートリーが多く、安定した攻撃力と強靭なタフネスで文字通りパーティを(棺桶だろうが)引っ張ってくれる頼れるゴリラ。
    絡め手無しで敵と殴り合うスタイルは前作の主人公を彷彿とさせる。
    (あっちはたまにホイミとか使ってたけど)

  • サマルトリアの王子
    二人目の主人公でちょっと手がかかるけど憎めないやつ。
    仲間にするまでに色んな所を歩かされる羽目になったり、ハーゴンの呪いで離脱したりとうだつの上がらない所が目立つが、容赦なく物量で襲いかかってくる魔物に対して欠けてはならない立派な人材である。
    ファミコン版は装備や魔法も中途半端で成長も晩成型と散々な性能だったみたいだが、リマスター版ではある程度マシになっていたみたいで、特に序盤はギラでリザードフライの大群を焼き払ったり、中盤はローレシアの予備火力でとどめを刺したりキアリーにトラマナに器用な立ち回りを見せたりしてくれた。
    …まぁそれでも若干打たれ弱い感は拭えなかったけれど。

  • ムーンブルグの王女
    三人目の主人公は薄幸のお姫様で犬系魔法使い系の女子。
    実はサマルトリアの王子よりも晩成型なんじゃないかってくらい戦力になるまで時間がかかったと感じる。
    それでも終了後にこまめにホイミをかけてHPを維持するとか出番はあったけれど。
    バギを覚えるとそこそこ使えたりするが、迂闊に集中砲火を食らって瀕死になる事も多々あったので中盤の大灯台くらいまでは戦闘中は防御に徹する事が多かったかなと思える。
    で、例のロンダルキアを越えイオナズンを覚えた辺りから大暴れが始まり、鬼畜とも言われたあの雪原の猛者達をボコボコ薙ぎ倒してくれる様にようやく一人前になったなと謎の感動を覚えた。

この様に頼れる(?)面子で今回は冒険することになったが、対する魔物も手加減無しの物量で襲いかかって来る。
特に序盤のローレシア王子一人に対していきなりスライムやおおなめくじが徒党を組んで襲いかかってくるので最初は面食らった。
(それでもローレシア王子は一人でさばききれてしまうので否が応にも頼りになるキャラが立っているというものだ。)

ロ「ちょっ、1対3とかレギュレーション違反だぞ!!」」

船を入手してからが本番

前作は自由度が高く、手探りの連続で冒険を進めるのに対し、今作では仲間を集めてルプガナで船を入手するまでは比較的順路が決まっている。
しかし船を入手してからが本番、海を渡ってほぼワールドマップの8割ほど移動できるようになり、いよいよドラクエらしくなってきたなという気分になった。
ここからは割と何でもありで、まず近場の既視感がある土地に降りても良し、遠出して一足早く強い武具を調達しても良し、だけどそこからラスダンまですっとばせるかといえばノーで、そこに行くまでに様々な何かを集める必要が…と言った具合に、3人パーティに馴れた段階で「Ⅰ」のような手探りの冒険に挑むのである。
ただし、自由にはなるが自由を行使するためにはそれなりの実力も必要。
どこまでいけるかハラハラする冒険が個人的に割とドラクエらしさ・楽しさかと思えた。
(この辺は「Ⅰ」も共通している。)
既視感がある土地といえば、前作を遊んでいればここは!?と思う場所が割とそのまんま登場する。
時間が経過したという設定で多少差異はあれど、こうなってたのかという前作からの答え合わせ的な楽しみがあった。
古参のシリーズの2作目で早くもこういった楽しみを盛り込んでいたのである。
恐るべし、ドラゴンクエスト。

「Ⅱ」で初めて明かされる、「Ⅰ」の世界の全貌。

地獄のロンダルキア地方

紋章を集め、ルビスの加護を受けてようやく噂に名高い難易度のロンダルキアへの洞窟へと辿り着く。
前知識だと、このロンダルキアへの洞窟は開発時の調整不足などの理由で敵がいきなり強くなり、ダンジョンも無闇矢鱈と複雑なのもあってかなりの難所との噂を聞いていた。
では実際攻略してみてどうだったかというと…うむ、リマスター版なので適正には調整されている、思ったよりも…いや、やっぱしんどい。手強いダンジョンである。
総当たりで道を探すしか無いループマップに、貴重なMPを飛ばしてくるダークアイ、大群で炎を吐き散らすフレイム、そして唐突に現れてはサマルトリアやムーンブルグを殴り倒していくキラーマシンと、ここまでの難易度から突き放してるな!?という雑感を得ながら踏破した。

いつまで廻るんだよ…と負荷をかけてくる落とし穴&ループの連続に手加減無用の雑魚敵の襲撃。

…そして洞窟を抜けて辺り一面の雪原、ようやく難所は越えたか…と思いきやこっからが本番でした。
やたら強靭やギガンテスにフレイムの更に鬱陶しいバージョンのブリザード、挙句の果てには敵ながらイオナズンで容赦なく王子たちをぶっ飛ばしに来るアークデーモンと洞窟は玄関だと言わんばかりに殺しにかかってくる!?
こっちもムーンブルグ王女がイオナズン覚えてなければ危なかった…!!

トンネルを抜けるとそこは雪国…の皮被った地獄でした。
川端康成も裸足で逃げ出すだろう。

冒険を終えて

そんなこんなで実質ラストダンジョンだったロンダルキアの雪原を越えて無事ハーゴンを撃破、悪霊の神々の顕現を阻止し、ローレシアに花火を咲かせて冒険を締めくくった。
山を踏破したみたいな充足感があるのがまず思ったクリアの感想だった。
個人的な話になるが、RPGの何が好きかと言われれば筆者はまずストーリーを重視してしまう傾向があって、ゲームとして褒められたものではなくてもストーリーさえ良ければ甘めの評価をしてしまう。
逆を言えば、いくらシステムが快適・画期的・充実していたとしても、ストーリーがいまいちだったら残念な感想を抱いてしまうことも少なくない。
では、前回のドラクエⅠと今回のⅡはどうだったかというと、振り返ればドラマらしいドラマはそこまでなく(Ⅱの冒頭くらいだろうか)、キャラクターのやり取りは必要最低限でひたすら手探りの探索とトライ&エラーの繰り返しであった。
それが不満だったかというとまったくそんな事はなく、むしろ「自分でやった」という強い充実感があり、これは他のRPGではなかなか得られない感覚だ。
つまり、アレフガルドの勇者やローレシアの王子を通してきちんと「自分」で冒険する楽しさが打ち立てられているのである。
それは旅行する楽しさにも通じるし、挑戦するスリルも含んでいる。
「自分」で広げる知見や経験に、ドラマの介在は逆に要らないのだ。
(※ドラマ重視のRPGを否定する意味合いに非ず。これはこれで善きという事で。)

自分のRPG力を試す意味でも楽しめたドラゴンクエストⅡ。
しかし、今回遊んだリマスター版はあくまで難易度が調整されていたものであり、オリジナルはもっとサマルトリアの王子が情けなくて、もっとロンダルキア地方が鬼畜極める難易度であったという。
いつか、本当のドラクエⅡに挑戦する機会があれば、中古屋でファミコン版を手にとって改めて挑戦してみたいものだ。

個人的に3人揃ってからのフィールド曲は前奏が無いFC版の方が好きかな。

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