見出し画像

ドラゴンクエスト初代を今更遊んでみて面白かった話

私はRPGゲームが好きで、自慢じゃないがこれまでにクリアしたタイトルは150本ほど、ファイナルファンタジーはⅠからⅩまでクリア済みだ。
これだけRPGにどっぷりなのだから、我こそはマニアである!玄人である!…などと思っていた。
だが実は、胸を張ってそう言えない理由があった。

この男、ドラクエを遊んだことがなかったのである。

もちろん、触れる機会がまったく無かったわけではない。
親戚が遊んでいたし、周囲にも遊んでいる友達はいたし、弟が7をプレイしている様を見ていたりもした。
だが、私は敢えて触れてこなかった。
そもそも(当時は)他のタイトルほど魅力を感じていなかったし、無駄にFF派気取りを拗らせていたりと、昔の時分の変なこだわりで避けていただけである。
いつしか「これだけRPG好きでも何故かドラクエだけはやった事ない」などと、半ば自虐ネタ代わりに言うまでになった。
(なんと愚かしいことか)
それが気づけばイイおっさん、さすがにいつまでもそんな事を擦るのは痛い…と思い始めた私は、改めてドラクエと向き合おうという気運になったのである。
そんなこんなで、どのハードで・どのナンバリングから手を付けるべきか迷った末、温故知新の気持ちでSwitchにリマスターされた「ドラゴンクエストⅠ」(以下初代)をチョイスした。
10時間程でクリアできるという。
サクッとやるには最適だと思い、改めて原初の和製ロールプレイングゲームに挑んだ…。

Switchのリマスター版ドラゴンクエスト初代。
画像はキレイになりつつ、当時の雰囲気をなるべく残している良好な移植版だと思う。

意外と自由度が高かった

さて、最初に面食らったのは、RPGというジャンルそのものの入門用を謳いながらも、いきなり何をすべきかがはっきりと決定されない自由度の高さだ。
「竜王を倒し、平和を取り戻せ」と王様に命じられるはいいが、それ以降は具体的にはっきりとした目的設定がない。
親しんだRPGの流れであれば、「〇〇の街へ行って✕✕をしろ」と目的が設定されたりもするが、そういうイベントはたぶん、一切存在しなかった。
まずは村人の話を聞いて色んな情報を集めて、自分で指針を決める事。
もちろん、話を聞けばある程度やる事は見えてくる。
竜王の城に行く為にアレを集めてコレをするといった具合だ。
だが、話を聞いて敢えて手順を変えて進めることもできる。
先にあそこが気になったから行ってみて、ある程度収穫があれば次はあっちに行ってみると言った感じに。
もちろん、思うがままに進行するためには、それができるだけの装備もレベルを揃えなければならない。
なので、ちょっと村の周囲でモンスターを狩って金策/レベリングする。
物足りなくなったら橋を渡って、ちょっと強めの敵を狩ってみる…といった進み方もアリなのである。

ぼんやりした流れで、自分で情報を集めながら順路を組み立てて、次にどうすべきか計画する。
RPGというジャンルがまだ浸透してない時代にこの流れを組み立てる楽しさを表現できている事、それを数十年経った今に追体験してもそれなりに楽しかった事に、ドラクエの地力の強さを感じた。

情報収集は基本中の基本。
情報を元にどこから攻略するか、どこを攻略できるのか全て手探りで構築するのだ。
街の中には昨今のRPGでも見かけないような意地悪なルートもあったりする。

シンプルでスリリングな駆け引き

さて、次はバトルについて語るのだが、原初のRPGとあってやる事や考える事は非常にシンプルである。
基本は「たたかう」、HPが減ってきたらホイミで回復する。
おそらくドラクエ初代のバトルは八割がたそれに終始する。
さそりなど硬そうなモンスターにはギラが通りやすかった気がするが、レベルが上がれば殴った方が早い。
既存のRPGにあるような複雑な属性や行動ルーチンなども無く、殴って殴られて、早く殴り倒した方が勝ち。
故に戦闘はサクサク進むし、レベリングもそこまで苦痛ではなかった。
ドラクエと言えばフィールドをぐるぐると徘徊してはちくちくモンスターを狩って渋い金策をする(失礼な)イメージがあったが、なるほど、コレなら言うほど苦行でもないなと実際にやってみて思った次第だ。

だが、脳死で「たたかう」を繰り返していると思わぬタイミングで事故ってしまう。
敵の攻撃を受けてもまだ大丈夫だろうと高を括っていたら相手に先手を取られ殴られてしまう。
それが致命打となり敗北、何度王様に呆れられたことか。
適宜なホイミのタイミングを見極める事も大事だし、いついかなる戦いでもこれを意識する必要があるのだ。
RPGに置ける最もシンプルでスリリングな駆け引き、どこまで押して、どこで引くのか。
色んなRPGを経て改めて向き合うこの駆け引きに、逆に新鮮な楽しさを覚えた。

全編に渡ってタイマンバトル、やることはこちらのHPが尽きる前に相手を殴り倒すべし!
回復を怠って負けてしまうと、所持金が半額になり王様に呆れられる。
ペナルティとしては割りかし優し方だ。

我に土を付けし者たち

さて、玄人気取りで門を叩いたら思わぬ応酬を受けてしまったこのドラクエ初代だが、ここで筆者が印象深かった憎いアンチクショウどもを紹介していこう。

■がいこつ

序盤のマイラの村の周辺で金策してたら、思わぬダメージにタイミングを見誤ってしまい負けてしまったのがこの「がいこつ」。
こんなシンプルなスケルトンですらない四文字に倒されてしまった事に屈辱を覚えつつ、なるべく大さそりから金策しようとビクビクしながら徘徊していた記憶がある。
まるで「昔のゲームだからって舐めてんじゃねぇぞ」と言わんばかりの洗礼であった。

■ガライの墓

正確にはモンスターではないが、うっかり足を踏み入れて地獄を見た場所として紹介しておきたい。(初見あるあるらしい。)
魔法の鍵を手に入れて、「暗闇を進め」の先に踏み入れたその場所に「ようやくまともなダンジョンの攻略かぁ」とまたも油断して奥に進んでしまう。
先のがいこつを余裕で狩れるほどになっていたものの、気がつけばダンジョンの奥深く、明らかに高レベル帯の領域に足を踏み入れてしまい、初見のリカントマムルに先手で殴られ続け、そのまま回復が追いつかず撃沈。
王様にまたしても呆れられてしまった。
このダンジョンは序盤から行ける村に存在するにもかかわらず、ゲーム後半での攻略が適正だったのである。
デスペナルティが所持金半額だけと比較的緩くはあるものの、この時ばかりは10000Gが半分になってしまって勿体ない思いをしたのは忘れがたい。

■かげのきし

またしてもがいこつの親戚に手を焼いてしまう。
このかげのきしは、とにかく攻撃を避ける!!
それでいて、ホイミと同じくらいの数値でダメージを与えてくる!!
気がつけばジリ貧になり、回復が追いつかなくて負けてしまうことがしばしばであった。
メタルスライムを狙っている時に鉢合わせる機会も多く、気を引き締められる相手でもあった。

■ゴーレム

「妖精の笛も吹かずにゴーレムに挑んだのか!?」などと既プレイの勇者には思われた事だろう。
いや、この私が妖精の笛の存在を忘れていたわけがあるまい。
ただ笛を吹くたび音色でゲームが中断されるのがかったるいなぁと思い、勇者が瀕死になるギリギリまで吹くのを控えたのである。
案の定、ダメージが大きすぎて殴り倒されてしまった。
ここで倒されなければ炎の剣が楽に買えたのに…。
住民の話はちゃんと聞いた通り、笛はこまめに吹きましょう。

今だから遊んでも面白い

以上がRPG歴20年以上の筆者が初めてドラクエ初代に触れたありのままの感想である。
プレイ前はなんとなく地味なレベル上げに終始するんだろうなぁと覚悟していたものの、意外とプレイは単調にならず、自発的に冒険の計画を組み立て、程よくスリリングな駆け引きを初心に立ち返って楽しむことができた。
RPGというジャンルがまだ浸透しない時代だからこそ、初見でもスムーズに遊べるように(当時としても)丁寧な作りを感じたし、それは割と今の時代にも通用する突き詰めた面白さがあった。
筆者のように色んなRPGを触れてきた上で、改めて自分のRPG力を試す気持ちで遊んでも新鮮さがあるだろうし、もちろん令和の今ですらまともにRPGを遊んだことがない人にもお勧めだと思う。
なぜなら、このドラクエ初代にある「自分で冒険を計画する」「敵と刺すか刺されるかの駆け引きを行う」楽しみはRPGにおける根源的な楽しさに通じているからである。

若年時は色々理由をつけて避けていたドラクエであったが、ある程度年を食った今だからこそ素直に楽しめたことを幸福に思う。

実はちょっと下世話だったドラゴンクエスト初代。

いいなと思ったら応援しよう!