【ネタバレ】「北のカナリアたち」若い頃は役者を変えたほうが…
2012年公開、吉永小百合主演の「北のカナリアたち」。
「ラストマイル」で満島ひかりにハマったのと、礼文島訪問を計画しているためU-NEXTで視聴しました。
※この文章には「ネタバレ」がおおいに含まれています。
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今では無理!?超豪華俳優陣
宮崎あおいに満島ひかり、小池栄子、松田龍平、森山未來…もうこんな映画作れないんじゃないかと思うくらい、言葉を選ばずに言えば芸達者な俳優陣による作品でした。
私は吉永小百合はそこまで履修していないし、あまり好きでもないのですが、それでも湊かなえ原作にこの布陣、ということで一見の価値ありの映画だと思います。
「行かないで、捨てないで」-心に刺さる悲鳴
この作品では、主人公(吉永小百合)が教員として働く小学校に通う子どもたち6名が出てきます(宮崎あおいなどはその子どもたちの成長後の役)。
この6名、全員にそれぞれ個性と背景があり、その個性と背景が相まっていくつかの悲劇が起こります。それは、誰が悪いということでもなく、偶然であったり、あるいは身内を含む他者に原因があったり。その「自分ではどうしようもない」状況が、子役含め、各俳優たちによって丁寧に描かれていました。
中でも涙を誘ったのが、追いつめられると大声を上げて逃げ回る、吃音のある鈴木信人が、大好きな先生(吉永小百合)が島を去るときに発した、「行かないで、行かないで、捨てないで」という悲鳴にも近い叫び。
家庭に恵まれなかった信人は、その後も不遇な道を歩みますが、それでも守りたい人、愛する人を見つけ、心を通い合わせます。しかし、その相手を死に追いやった人物を結果的に殺してしまう。逃亡した先は、先生との日々があった島。そこで追いつめられ、事故にあってしまいますが、一命をとりとめ、逮捕されます。逮捕後、刑事と向かった先は港ではなく、小学校。
学校には、かつての仲間と先生が待っていて、それを見た信人は大声をあげる…この流れ、子役の小笠原弘晃と森山未來に本当に泣かされました。
「家族がほしかった」という言葉がこんなにも切なく、悲しく聞こえるなんて。この作品は、信人が主人公といっても差し支えないくらい、嗚咽しました。
仲村トオルとのキスシーンは無理があるのでは
吉永小百合主演作って、吉永小百合のために作られてて、吉永小百合をいかに綺麗(いろいろな意味で)に魅せるかに力を注いでいるように思えるのですが(主観)、これもそんな感じではありました。
まず、夫役が柴田恭兵というのは納得がいきますし、現に違和感もなかったです。でも、公開当時67歳の吉永小百合の不倫相手役に仲村トオル(公開当時46歳)を据えて、キスシーンまで、というのはちょっといただけませんでした…。リアリティが無いんですよね。それとも原作でもそれくらいの年齢差だったのでしょうか(そうだったらすみません)。
事情があって島にきた警察官である仲村トオルと、どのように関係を深めてわかりあっていったのか、その描写も少なすぎて、吉永小百合が失うものの大きさばかりが目立ってしまっていました。
年齢というのは、容姿だけではなく、経験からくる雰囲気にも出てしまいます。その点を加味したキャスティングで観たかったですね。
小学生のころの出来事が、20年たってものしかかる。
でもそれを、はる先生(吉永小百合)が少しずつ氷解させていく。
過ちはだれにでもある、先生にもある。
でも、あなたの帰りをまっている。
最後はそんな言葉を、はる先生が言っているように思えました。
きっとまた、何年かしたら観たくなる作品。
原作もそろそろ読まないと…。
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