見出し画像

well f.m. 設立について~ファウンダーが語る新組織への想い ⑤

 ワーケーションを実施側(企業・社員)の課題を見てみると、労務管理等のマネジメントの仕組みや規程の整備が必要で、特定の業種や職種に限定される傾向がありました。
社内にテレワークやワーケーションに適さない職種があることも多く、こうした状況において制度導入に対する社内や労組との調整などのハードルが高いことがわかってきました。 

 具体的には、ワーケーションを積極的に推進する企業としては、富士通、三菱地所、NTT、JAL等が上げらますがこれら企業は全て東証一部上場企業であり、労組の体制が整っているといえます。
日本の産業別規模別従業者総数(民営、非一次産業・2016年調査)を見てみると、総数46,789,995人の内大企業は、14,588,963人で31.2%。中小企業を見てみると32,201,032人で 68.8%となっています。つまり従業者で見ると3割が大企業、7割が中小企業。中小企業の内従業員20人以下(商業(卸売業・小売業)・サービス業は5人以下)の事業者等「小規模企業者」が10,437,271人で 22.3%を占めています。

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/181130kigyou4.pdf


 コロナ禍において、内部留保を持った上場企業群はワーケーションを推進して、労組もそれに追随するでしょう。明日の資金繰りにひっ迫した中小・零細企業が「じゃ、ワーケーションに行っておいでぇ」と言えるでしょうか? 無理です。

 上記の総数46,789,995人は、民営、非一次産業の総数であり、農林水産業従事者と行政サービス等の公務員数は含まれておりません。農林水産業従事者はワーケーションとは関係なく、行政サービス等の公務員は、コロナ対応でそれどころでない。というのが現実でした。
よって、コロナ禍におけるワーケーション推進により、着地側の施設整備は進むが、送り出す側の企業は一部上場企業側に限定され、労務管理等のマネジメントの仕組みや規程の整備が追い付かない中小企業群にはワーケーション制度は普及しない。との推測が立ちます。

秩父多摩甲斐国立公園内 増富の湯 ワーケーション事例


 そして、上記の考察を更に裏付けるデータに到達します。
国際労働機関(ILO)の有給休暇条約に関する1970年に採択した第132号条約で、有給休暇日数は1年勤務につき3労働週以上(5日制なら15日以上)とされ、連続で2労働週以上(同10日以上)取得することが定められた条約に、日本は産業界の反発などで批准していないという事実です。

https://www.nikkei4946.com/knowledgebank/selection/detail.aspx?value=1243


◎well f.m. 創業者 雨降 地固男 
(善井 靖/事業企画プロデューサー・内閣府 地域活性化伝道師)


いいなと思ったら応援しよう!