駆け出しセラピストに送る言葉㉙ 「木を見て森を見ず」
日曜日は、【駆け出しセラピストに送る言葉】を配信しています。
今回は、治療(施術)で最も大切な「全体像の観察」についてシェアします。
木だけを見ると失敗する
駆け出しの頃や、全体を診ずに治療(施術)を行う先生には、「木を見て森を見ず」という特徴があります。
<例>
⇩の患者さんが、「首が痛くてL方向に向くことができない」と訴えた場合、どんな事を想定し、どんな施術を行いますか?
もし「女性はRに首が回っている」と判断したのであれば、「木を見て森を見ないタイプ」に成りかけているかもしれません。
そう答えられた先生のイメージは、おそらく⇩だと思います。
首をL方向に矯正をするか、患部をマッサージしたりストレッチする選択をとってしまうと思います。
でも、もう一つの答えを想定した先生もいるはずです。
それは女性が⇩のように、体ごとRに向いているパターンです。
そう!
⇧の場合は、体と首は正面を向いて、ねじれがなく正常のため、首の矯正や治療(施術)は不適切です。
もう少し、土台の部分を治療(施術)し、⇩のイメージになるようにする必要があります。
どちらが正解なのかは、「実際の患者さんの状態」によって変わります。
そのためにも、治療方針は必ず全体像の把握のあとに行うようにしましょう。
判断を誤る原因
治療(施術)を行う前には、十分な検査や確認をしていると思いますが、中には、症状を聞いた時に治療方針を決めてしまっている先生もいらっしゃると思います。
先入観が作り出したイメージを元にそれらを行うと、陰性所見も陽性所見に変わってしまいます。
先ほどの例であれば、本当は首は陰性なのに、陽性というテスト結果を作り出してしまうんです。
これは検査に自信のない方や、他の可能性が考えられない先生ほど、その傾向が強くなります。
また検査そのものができない先生は、首を左右ともに矯正したり、首全体をマッサージ・ストレッチしていると思います。
しかし、不要な刺激は体にとって「害」にしかならないので、目の前の患者さんを治したいのであれば、全体を診れるようになるしかありません。
最後に
もちろん「木を見てから森を見る」方が良いときもありますが、この大前提には「木を正しく見れる」という条件があります。
木を正しく見れないのに、森を正しく見ることはできません。
しかし、木を正しく見るためには、少しの努力と時間が必要になるため、条件が整うまでは、「森を見る」練習をしてみてください。
多くの森を見続けると、一つ一つの木の違いに気づくようになります。
始めは「何かおかしい」でOKです。
そのうち「ココがもっとこうなら良いのに」となってきます。
ぜひ頑張ってみてください。
ではまた