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人体を支配するしくみ「遺伝子とポストゲノム」19


毎週水曜日は、Newton「人体を支配するしくみ」を、見開き2ページずつ読み進めるシリーズです。

どんなに難しい本でも、少しずつ読めば必ず理解できるはずというコンセプトなので、「人体の進化に興味はあるけど、難しそうだし面倒くさい」という方には、丁度いい内容になると思います。

僕も読んでいく中で学んでいく立場です。
ぜひ一緒に学び成長し、分かる楽しみを共有していきましょう。


糖鎖の付加

糖鎖はタンパク質や脂質などの分子に糖が結合したもので、細胞の内外に存在し、さまざまな役割を果たしています。

この時に起こる結合を「糖鎖の付加」と言い、酵素の働きによって行われます。

糖鎖の付加には、大きく分けて2つの方法があります。

①N-結合型糖鎖の付加

N-結合型糖鎖は、タンパク質の側鎖のアミノ酸であるアスパラギン(Asn)に、糖が結合するものです。

N-結合型糖鎖の付加は、次の3つのステップで行われます。

1)タンパク質の側鎖のアスパラギン(Asn)に、糖のリン酸化された形であるUDP-N-アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)が結合
2)リン酸が切断
3)糖鎖の長さが伸びる

②O-結合型糖鎖の付加

O-結合型糖鎖は、タンパク質の側鎖のアミノ酸であるセリン(Ser)やスレオニン(Thr)に、糖が結合するものです。

O-結合型糖鎖の付加は、次の2つのステップで行われます。

1)タンパク質の側鎖のアミノ酸であるセリン(Ser)やスレオニン(Thr)に糖が結合
2)糖鎖の長さが伸びる

ゲノム情報をこえる糖鎖

糖鎖は、細胞の識別・細胞分裂や移動・タンパク質の機能の調節などに関与しています。

イメージとしては、タンパク質や脂質などの分子に飾り付けをするようなものだそうです。

クリスマスシーズンに、もみの木を飾り付けることで見た目や雰囲気を変え、普段とは異なる役割を果たすように、糖鎖も付加することでタンパク質や脂質などの分子の見た目や機能を変化させます。

本書で大阪大学の谷口直之教授は、

「糖鎖の不思議な点は、遺伝子情報の地図を元に作られたたんぱく質が、合成されたあとに付加される点です。ゲノム情報を超えた不思議な情報が隠されているのです。」

と語っています。

つまり、ヒトの体を理解するというのは、ゲノム解析だけではなく、プラスα糖鎖の付加を加味した研究が求められるということなんだと思います。


次回(12/6予定)は、「ウィルスは感染と脱出に糖鎖を利用する」です。

次回も新しい発見と出会えますように。
それではまた

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